安浪:そうです。同時に、これは試金石でもあると思います。これから本番まで、模試であれ、過去問であれ、結果が出なくて落ち込んだりすることはたくさん出てきます。どんな時でも常に親は子どもを元気付けてあげなければいけない。今回は我々が回答をしましたけど、今後は回答がないなかで、親御さん自身が息子さんの励まし方を体得していかないといけないですね。
矢萩:注意したいのは、根本的な原因とか気持ちに寄り添ってあげないと励ましが噛み合わないことがあること。ちゃんと子どものことを見て、わかってあげたうえでかけてあげる言葉だったら絶対効果があるけど、表面的なことばかりで励まそうとしているんだったらより溝が深まってしまうこともあるかもしれない。
安浪:ああ、それはありますね。ただ表面的に「大丈夫よ」と言っても「僕のこと、全然わかっていない」と思われてしまう可能性がありますからね。今、息子さんがどういう状況なのか、しっかり見てあげないと。
矢萩:僕が大手塾で教えていた頃の経験ですが、夏休み後って上のほうのクラスと下のほうのクラスで差がさらに広がることが多かったですね。下のほうのクラスの子はもう塾に来ているだけで精一杯。いるだけで体力を消耗してしまう。やり切った=通った、という話です。だからこの質問者さんのお子さんがどのぐらいのクラス帯に在籍しているのかにもよりますが、夏期講習に通っているからといって勉強が進んでいると思わないほうがいいです。
安浪:全くその通り。夏期講習に行っていることと、点数に結びつくような質のいい勉強ができているかどうかは別の問題ですから。それと、休んでいる時にオンラインの授業とかはなかったのかな? 今はweb授業も充実しているから、塾を休んでもいかようにも塾のコンテンツを使って勉強できるけれど…もしそれを活用しなかったとしたら、やっぱり原因はコロナじゃないですね。
矢萩:夏休みの後半にやろうと思ってやり残したことがあるんだったら、今からでも1日30分でも20分でもいいから割り振って、取り返せるようにスケジューリングして、「こうすれば大丈夫だよ」って数字で見せてあげられるといいですよね。もし何をやってよいかわからない状態だったら、2週間を休んだところで、あまり変わらなくない?って思っちゃいますよね(笑)。コロナになったからこそ日々漫然と過ごしていた自分に向き合えた、という見方もできます。「これをきっかけに1日に1日やることの質をあげていこうよ」と励ますのもいいかもしれない。
次のページへみんな「そんなもん」だから気にする必要なし!