最近よく話題になる読解力。子どもにつけさせたい力の一つですが、そもそも、子どもに読解力が「ある」「ない」の基準はどこなのでしょうか? 教育デザインラボ代表理事の石田勝紀さんが、「読解力の真の意味」から教えてくれました。現在発売中の「AERA with Kids 2022年秋号」(朝日新聞出版)からお届けします。
【図版】読解力のある子の頭の中はこうなっている!* * *
子どもが国語の読解問題のテストで良い点を取れば、「読解力がある」ことになるのでしょうか?これまで多くの子どもたちに学習指導をしてきた石田勝紀さんは、「読解力は、すでに知っている文章の理解度を問う国語のテストで測れるものではない」とキッパリ。
「読解力はもっと広くて深い概念です。はじめて見る文章を読んだり人の話を聞いたりして“どんな話だった?”と問われたとき、あらすじではなく“一言でいえば〇〇の話”とまとめたうえで、その話を自分はどう感じたのか、何を考えたのか。それを伝える力を読解力と理解するほうが本質に近いですね」
文章や人との会話でも、その言葉をただ文字どおりに理解するのではなく、つねに「なぜだろう?」「つまりこういうこと?」などと頭を動かしながら理解する経験が重なると、物事をいろいろな方向から深く考えるようになります。そのとき、自分の知っている世界に置き換えながら理解していくので、自分の言葉で話すことができるようになるのです。
「そうなると、人は新しいことを知るのが楽しくなり、自分の見える世界が一気に広がるんです。だから勉強も楽しくなります」と石田さん。
しかも読解力は、学校や塾ではなく、家庭での親子の会話や学習でこそ伸びるとか。以下の「四つのテク」は、家庭で無理なくできるので継続しやすいものです。さっそく親子でトライしてみませんか?
■読解力アップにつながる四つのテク
(1)読解力を上げる「キーワード」をさりげなく会話に交ぜる
親は子どもの頭を「動かして、考えさせる」キーワードを会話に入れて。それは「なぜ?」と「つまりどういうこと?」の二つ。親子の日常会話のなかで、つねに「疑問を持たせる」「話をまとめる」ことを意識させると、次第に考える頭ができ、読解力もアップします。
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