幼稚園に通う5歳の娘を持つ40代の父親。専業主婦である妻がママ友を作ろうとしないため、娘までもが孤独にならないか心配しています。ママ友同士の付き合いは、子育てにおいて重要ではないのでしょうか。「論語パパ」こと中国文献学者の山口謠司先生が、「論語」から孔子の格言を選んで現代の親の悩みに答える本連載。今回の父親へのアドバイスはいかに。
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【相談者: 5歳の娘を持つ40代の父親】
幼稚園年中、5歳の娘を持つ40代の父親です。私の心配は、専業主婦である妻に、ママ友が一人もいないことです。妻はもともと一人の時間が好きなタイプで、ママ友不要派。子育ての悩みを相談できるようなママ友は一人もいません。「困ったことがあれば実母や義母や市の保健師さんに相談するから大丈夫。小学校にあがればどうせ終わる交友関係だから時間の無駄だし、無理に友達を作るのも不自然」とさらっと言います。
幸い、娘は順調に成長していますが、妻が幼稚園のボランティア活動やママ友同士の集まりにも一切参加しないため、娘は明らかに人と接する機会が少なく、父親として心配です。今後も周囲との付き合いを拒み続けて、娘が孤独になったらかわいそうです。妻の考えを尊重すべきでしょうか。
【論語パパが選んだ言葉は?】
・「子曰(い)わく、己を脩めて以(も)って敬す」(憲問第十四)
・「子曰わく、君子は坦(たん)として蕩蕩(とうとう)。小人は長(とこしな)えに戚戚(せきせき)」(述而第七)
【現代語訳】
・孔子がおっしゃった。「つねに自分の修養につとめ、これでいいのだろうか?と自分自身に問いかけ、慎み深くあることだ」
・孔子がおっしゃった。「人の上に立つ立派な人(君子)は、心がおだやかでのびのびとしている。君子以外の人は永遠に憂いがなくならず、いつもこせこせしている」
【解説】
相談者さんは妻の考えを尊重してください。妻は、しっかりとした自分の意志に基づいて娘を育てているではありませんか。的確に誰に何を相談すべきかを知っている妻は、とてもすばらしいと思いますよ。心配することなどありません。
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