教育界ではサイエンスやテクノロジーと同様、「アートの力」の重要性が言われ始めています。そこで「AERA with Kids 秋号」では、クリエイティブディレクターの水野学さんに花まる学習会代表の高濱正伸さんがインタビュー。アートと教育について語り合いました。

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高濱:水野さんはたくさんの企業のブランディングをしていますが、読者にわかりやすいのは、やっぱり「くまモン」かな。

水野:そうですね。実は当初依頼されたのは熊本県のPRキャンペーン用のロゴだったんです。でもあれこれ考えていくうちに、ロゴ以上に必要なのは、キャンペーンを宣伝する係ではないかと。当時、宮崎県の東国原(英夫)知事が精力的に宮崎を宣伝していたこともあり、ならば宣伝マンになるキャラクターをつくったらいいのでは?という考えに至ったんです。

高濱:確かにあのころ、彼は宮崎のセールスマンとして脚光を浴びていましたね。

水野:しかもキャラクターなら人間よりもっと自由に動けるぞ、と締め切りギリギリになって構想が結実して。僕はいつも、依頼された仕事の期日は絶対に守り、A案だけでなくAダッシュ案や、全く別のZ案も添えるようにしていました。いわばくまモンは、Z案だったんです。キャンペーンに必要なキャラクターとそのアイデアを提案した。

高濱:なるほど。課題をつきつめていったら、課題を超えた提案が生まれた。

水野:まさにそうです。僕の持論なんですが、デザインには問題を発見したり解決したりする力があると思っています。どんなに内容がよくても見え方がよくないと伝わらない。だからよい見え方を提案する。今や経営とデザインはセットです。よく見えるための課題は何かを探すことがとても大切なんです。

高濱:うーん、問題を解決する以上に問題を発見できる力が大切という……。それ、今の教育の課題とどんぴしゃですよ。これまでの教育は、ひたすら問題を解く能力が重要視されていたけれど、本当に大切なのは、ないものを見つける力、課題設定能力だと。日本の教育界もようやくそちらのほうにシフトし始めてはいるんですけどね……。

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篠原麻子
篠原麻子
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