日本で絶滅危機にある生物たちにはどんなものがいるのだろう。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説する、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』6月号は、「絶滅危惧種からのSOS」を特集。そのなかに掲載された記事を紹介する。
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日本にはわかっているだけで、9万種を超える生物が生息している。野生動物をはじめ、絶滅のおそれがある生物がいるのは、日本も同じ。日本は島国のため、世界でもここにしかいない生物もたくさんいるが、国土が狭く、人口も多いので、生物が安全に生きられる場所はわずかだ。日本で絶滅のおそれがある野生生物を環境省がまとめた「レッドリスト」には、私たちにとって身近な生物も多く見られる。たとえば小学校で習うメダカや、いくつかの動物園で見ることができるツシマヤマネコ、昆虫図鑑でもおなじみのオオクワガタなども、このまま対策をとらなければ、将来、私たちの目の前からいなくなってしまうおそれがある。
日本で絶滅のおそれがある生物、絶滅してしまった生物、絶滅の危機から救われた生物の中から、一部を紹介するよ。
■タンチョウ 【絶滅の危険が増している】
生息地:主に釧路湿原など北海道東部
昔話「ツルの恩返し」でおなじみ。乱獲や生息地である湿原の開発で激減し、一時、絶滅したと考えられていた。しかし、1924年に十数羽が再発見された後、人工的にエサをやるなどの保護活動により、約1800羽まで増加。
■ラッコ 【絶滅の危険性が極めて高い】
生息地:北海道東部沿岸など
海にすむ哺乳類としては最小。出産・育児・食事など、生活のほとんどを水の中で行う。その密度の高い毛皮を目的に乱獲が行われ、絶滅寸前に。
■トキ 【絶滅の危険性が極めて高い】
生息地:佐渡島
日本産のトキは、かつては日本の農村部で当たり前に見られた鳥だったが、羽毛を目的に乱獲されたり、田んぼへの農薬使用の影響でエサのドジョウなどが少なくなったりして絶滅してしまった。現在日本にいるトキは、中国からもらって人工的に繁殖させたもの。訓練してから野生に放っている。