ふだん当たり前に使っている「kg」という重さの単位。その定義(※1)が5月から変わる。といっても、これまでの1キロ(1000グラム)が999グラムや1001グラムになるわけではない。何が、どのように変わるのだろう? 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』3月号に掲載された記事を紹介する。

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 昔は、長さや重さなどの単位は国や地域によってまちまちだった。ところが、商業や科学が発達すると、単位は世界共通でないと不便になった。そこで、今から約220年前のフランスで、世界中のだれもが共通に使える単位を目指して、メートル(m)とキログラム(kg)という単位がつくられた。

 このとき、1mは、地球の北極点から赤道を結ぶ子午線の長さの1千万分の1と決められ、測量が行われた。その結果をもとに1mの長さを示すものさしが白金という金属を使ってつくられた。

 1kgは、内側が縦・横・高さ10cmで、ちょうど1L入る大きさの入れ物に満たした水の重さ(質量)と決められた。ただし、水も入れ物も温度によって容積・体積が変わるし、水は蒸発もする。だから、水そのものを基準とすることは難しい。そこで、当時の技術で限りなく正確に量った、1Lの水と同じ重さのおもりが白金を使ってつくられた。

 その後、今から約130年前に、白金よりも硬くてすり減りにくい白金イリジウム合金という特殊な金属を使って、1mのものさしと1キログラムのおもりがつくられた。

 こうしてつくられた「国際メートル原器」や「国際キログラム原器」の複製が世界各国に送られ、各国では、それらをもとに、世界共通で使えるものさしやはかりがつくられたのだ。

■「おもり」だと傷や汚れによって質量が変わってしまう!

 ただし、この決め方には問題があった。特殊な金属でつくられていても、温度の変化やゴミの付着などによって原器自体の長さや重さが微妙に変化するのだ。

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AERA編集部
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