小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』で連載中の「プリンス堀潤のそもそもキーワード」。今回は「消費税」について一緒に考えます。

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 2019年10月、消費税が8%から10%に引き上げられるのを知っていますか? 今回は平成最後の重要な議論といわれる「消費税」を学んでいきましょう。

 まもなく終わりを迎える平成時代。この約30年で、私たちの暮らしも大きく変わりました。なかでも注目すべき問題は人口減少・少子高齢化でしょう。1995(平成7)年以降、15歳から64歳までの働くことができる人の数は減り続け、それに伴って、医療や介護サービスなどの社会保障のしくみを維持するために必要な国の予算が増え続けています。

 そもそも、医療や介護サービスなどの社会保障に充てられる国の予算は、みなさんが支払う税金などによってまかなわれています。ところが高齢化で急速に社会保障費が増えると、税金の額は追いつきません。こうした状況は今から約40年前に予想されていました。このままでは国の社会保障制度が崩壊してしまう、そんな危機感から生まれたのが「消費税」です。

 消費税は、モノやサービスを購入するときに一律にかかる税金で、国民全体から幅広く徴収できる大型の「間接税(※)」です。ただ、商品の値段に税金分を上乗せするので、当然、国民や小売業界からの反発は根強く、79年に大平内閣、87年に中曽根内閣でそれぞれ導入を断念。88年、竹下総理大臣が小売業界を説得し、消費税法が成立。翌89(平成元)年、ついに3%の消費税がスタートしました。しかし、3%では社会保障費をまかなうには不十分だとして、その後、97(平成9)年に5%へ、2014(平成26)年に8%へと段階的に引き上げられました。過去には、消費税が上がることで、消費が冷え込み、景気が悪化したりする事態も生じています。

 そのため、いまの政権のトップ、安倍総理大臣も、これまで決まっていた増税を2度延期してきました。しかし、いよいよ19年10月に10%に引き上げられることが決まったのです。

 再び景気が悪くなるのではないか? そんな懸念から、今回の増税では、これまで日本になかった新たなしくみが導入される予定です。それが「軽減税率」です。

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AERA編集部
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