――印象に残っているセリフは?

 自己紹介のときに「パーフェクトネコ型ロボット」と自分で言うのが、ちょっと照れくさかったです。自分で自分のことを「パーフェクト」と言う機会はないので(笑い)。しかも、それがアフレコでの初セリフだったんです。アフレコ中は、照れくささは出さないようにしていましたが、内心ちょっと恥ずかしかったです。

――「パーフェクト」を追い求めることと、「人間らしくあること」は、この作品のテーマのひとつです。ご自身は、この二つをどう捉えていますか。

 パーフェクトを目指すのは大切なことだけれど、それにより個性がなくなってしまうのはもったいないと思います。いいところも悪いところも含めて、その人だと思うから。

 僕自身は、あまり短所を気にしたことがなくて。「ここは直したほうがいいんだろうな」と思うところはもちろんあるけれど、いまアイドルとして人前に立つ仕事をしていることもあって、僕の短所を含めて「いいな」と思ってくれている方もきっといると感じているので。だから、無理して自分を変えようとしてまで、パーフェクトを目指す必要はないと思うし、自然体のまま、まずはなりたい自分を見つけることが大切なのかなと思います。

――大人になってから見て感じた「ドラえもん」の魅力は、子どものころに感じた魅力とは異なるものですか。

 小さいころから、見ていて感動していたけれど、大人になってから見ると、「感動」を言語化できるようになりました。それが大きな違いだと思います。「僕はこの点に共感したから、勇気をもらえて、こんな気持ちになった」と言葉にすることができるようになり、より深くドラえもんの世界に入り込めるようになった気がします。

――声優という新たな挑戦は、何をもたらしてくれましたか。

 自分の可能性を広げてくれたと思います。食わず嫌いをしていたわけではないけれど、「自分にできる」とも思っていなかったから。チャレンジしたことによって、見たことのない景色を見ることができ、また一つ、自分が興味を持つ対象が増えた。そう思えたことが一番の大きな収穫でした。

(取材・文 古谷ゆう子)

ジュニアエラ 2023年3月号

ジュニアエラ編集部

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