制服は男子、女子それぞれ指定されたものを着なければならないと、ごく普通に思われていたことがひっくりかえった……。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、教育ジャーナリスト・小林哲夫さんの解説を紹介しよう。

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 今年4月に開校した千葉県柏市立柏の葉中学校では、ブレザーに、スラックスかスカート、ネクタイかリボンなどを自由に組み合わせて着られることになったのである。男女などの性別に関係なく制服を選べる。これは学校が示した性的少数者(LGBT)への配慮である。

 制服については、なにかと注目されるできごとが続いた。「アルマーニ」製の制服を着て小学校に通う、東京・銀座にある中央区立泰明小学校の話である。大人たちは驚いた。高級ブランドといわれ、ひととおりそろえると4万円以上! 着ても着なくてもいい「標準服」とはいえ、事実上の「制服」にあたる。このこだわりは銀座という場所柄なのだろうか。

 なるほど、制服にはさまざまな思いが込められている。では、そもそも制服は何のためにあるのか。

 学校にいわせれば、わが校をしっかりアピールする、服装に乱れがないようにするなど風紀や規則を守ってもらう、同じ集団として誇りや愛校心をもってほしい、引率などの際、クラスをまとめやすい、などであろう。

 制服の歴史を簡単に振り返ってみよう。日本に近代化と西洋化をもたらした「明治維新」後、日本全国に学校がたくさんつくられはじめたころ、制服が誕生する。男子は「詰め襟」といって、首のまわりをホックやボタンでしめる制服、女子はセーラー服が多かった。

 詰め襟もセーラー服も、ヨーロッパの軍服にならったものだ。こうしたスタイルはだいたい1950年代まで続く。

 50~60年代、女子に紺のブレザー着用がみられるようになった。

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小林哲夫
教育ジャーナリスト 小林哲夫

1995年より『大学ランキング』の編集者。『筑駒の研究』(河出新書)、『学校制服とは何か その歴史と思想』 (朝日新書)、『女子学生はどう闘ってきたのか』(サイゾー)、『旧制第一中学の面目』(NHK出版新書)、『東大合格高校盛衰史』(光文社新書)、『早慶MARCH大激変 「大学序列」の最前線』(朝日新書)など、教育・社会問題についての著書多数。

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