だけどよしおも考え方が変わって、「自分は自分」「相手は相手」って思うようになった。そもそも、苦手な人を変えることは難しいし、自分の都合で相手に変わってもらうなんておこがましいよな、って気づいたんだ。そうしたら、「こういう人もいるんだな」って自然と思えるようになった。
そうなったら、「苦手な人」っていう概念もなくなるんじゃないかな。「苦手な人」じゃなくて「こういう人」っていうふうに思えるかも。うさりおちゃんの「苦手な子たち」っていうのは、どういうところが苦手なのかな? 一回、その「苦手」という考え方はやめてみるのはどうだろう。「自分と仲良くしてくれるかな」とかも期待せずにいること。自分の考えと違う人=「苦手な人」ってなっちゃうと、自分が窮屈(きゅうくつ)になってしまわないかな。
そして「苦手な子たち」っていっても、その子たち一人ひとりにはそれぞれ個性があるはず。「苦手な子たち」と一気に仲良くすることは難しいけど、その中でも一番話しかけやすい子を突破口にしてもいいのかも。
■みんなと仲良くなるコツは「曖昧力」
人間って不思議なもので、集団になると必ずといっていいほど“派閥”が生まれるもの。クラスでも、なんとなくグループが分かれたりしていないかな? うさりおちゃんが苦手な子たちと仲良くできたとしても、もしかしたらグループとグループの間に挟まれて身動きがとれない、ってことがあるかも。
よしおは小学生のころ、わりといろんな人と仲良くできていたんだけど、6年生のころ、1組と3組の仲が悪い時期があったんだ(男子の一部で)。よしおは1組だったんだけど、3組にAくんっていう、クラス同士の仲が悪くなる原因につながるような行動をしている子がいたんだ。だけどよしおはそのAくんと住んでいる家が近くてね。1組の子とも仲良くしたいし、Aくんともいい関係でいたかった。
そこでよしおは、クラスのみんながAくんの悪口を言っていても、「まあまあまあ」って受け入れながらも同調はしないで聞き流していたんだ。そうすると、よしおの立場は「Aくんの悪口を聞いているようだけど、Aくんのことは悪く言っていない」っていう曖昧(あいまい)な感じになったんだ。でもそれがよかった。どちらかを否定しているわけじゃないから、1組のみんなとも、Aくんとも仲が悪くなることがなかったんだよね。で、そのうち1組とAくんの仲も悪くなくなったんだ。
次のページへはっきり決めすぎない「曖昧力」とは?