入試の多様化も進む。首都圏中学模試センター調べによると、適性検査(思考力・総合・自己アピール・PISAなど)型入試の実施校数は、昨年より11校増えて、147校にのぼった。英語入試も13校増で、125校が導入、今年は慶應義塾湘南藤沢が新たに実施。北さんが言う。
「早慶が導入すると、MARCHや他の学校にも影響が及び、来年以降も英語入試は広がりそうです。今年は英語1科目入試が30校以上ありました。幼い頃から英語を習わせている家庭も多く、受験のチャンスが広がりそうです」
算数1教科入試を導入する学校も増えた。世田谷学園、巣鴨などの男子校のほか、普連土学園、山脇学園、品川女子学院、大妻中野などの女子校も実施している。新たな傾向として、駒込、相模女子大、大妻嵐山などがプログラミング入試を導入した。
公立中高一貫校は、さいたま市立大宮国際が新たに開校し、1000人以上の応募者を集めた。首都圏の公立中高一貫校で初めてIB(国際バカロレア)プログラム教育を導入する。また今年は、桜修館や三鷹、南多摩、武蔵高付、両国高付などの都立中高一貫校の応募者が増加した。安田さんは次のように見ている。
「大学入試改革に対応していくには、中高一貫教育が有利だと考える保護者は多い。経済的に少し余裕がない家庭が、学費が低い公立を選択したのではないか」
首都圏では、来年も小学6年生数が約2300人増える見込みだ。また、大学入学共通テストは24年度から新学習指導要領に合わせて内容が変更され、より思考力や読解力が試される試験になるという。そのため、私学教育への期待が高まり、中学受験生数は増加すると予想される。競争が厳しくなる半面、特色ある入試も増え、いっそう間口が広がりそうだ。20年は聖ヨゼフ学園と小野学園女子(品川翔英に校名変更予定)が女子校から共学化する。今後の入試変更情報などにも留意し、我が子に最適の学校を見つけてほしい。(文/柿崎明子)
アエラムック教育編集部