5日に能登半島を襲った地震では11日朝までに死者1人・重軽傷者38人の人的被害と542棟の家屋被害が確認された(写真/朝日新聞社)
5日に能登半島を襲った地震では11日朝までに死者1人・重軽傷者38人の人的被害と542棟の家屋被害が確認された(写真/朝日新聞社)

 5月5日に石川県で最大震度6強、11日には千葉県で5強の地震があった。

 これらの地震に関連はあるのか。さらなる大地震の可能性は? 平田直・東京大学名誉教授(地震学)に聞いたAERA2023年5月22日号の記事を紹介する。

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 日本はそもそも世界的に見れば地震がたくさん起きている場所で、日本中どこでも地震は起きますが、特に南関東では普段から地震が多発しています。

 それは、2枚の海のプレートが陸のプレートの下に沈み込んでいて、3枚のプレートが重なっている複雑な構造から地震が起きやすい、という地学的な環境があるためです。マグニチュード(M)7クラスの地震も、100年のうちに5回ぐらいは起きています。

 5月11日早朝に千葉で起きたM5・2の地震は、南側から北に向かって沈み込んでいるフィリピン海プレートの内部で起きた地震だと考えています。一方、5月5日に石川県能登半島で起きたM6・5の地震は、2年以上この地域で続いている地震活動のひとつであり、今回千葉で起きた地震との関連はありません。また、この規模の地震は日本ではよく起きていて、決して地震が最近多くなったわけではありません。

家具を固定し転倒防止を

 大きな地震が起きると必ずそのあとに余震が起きますので、1週間ぐらいは注意が必要です。あとから起きる地震はときに最初に起きた地震よりも大きい場合もあります。2016年の本で起きた地震では、最初にM6・5の地震が起きて、その2日後にM7・3の地震が起き、それ以外にもM5やM4の地震がたくさん起きました。今回の千葉の地震で強い揺れを感じた人は、また起きるという前提で考えたほうがいい。余震の規模が大きい場合は、都内でも大きな揺れになって被害が大きくなる可能性がありますので、決して千葉だけの話だと思わないで、東京や横浜に住む方も気をつけてください。

 具体的にいうと、棚から物が落ちてきたり、家具が倒れかかってきたりしたような場合は、あわてて元に戻しても、また揺れれば落ちたり倒れたりします。家具を固定する、ものが落ちないようにする、ということまでやらなければいけません。それができなければ近寄らないことです。

 ブロック塀も、最初の地震で一部崩れた場合は、次の揺れでさらに壊れてしまうことがありますので、明るく、安全なときにきちんと補修することが必要です。それができなければ近づかないことが重要です。

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市街地の下で起きれば大きな被害