櫻井翔(さくらい・しょう)/1982年生まれ、東京都出身。俳優、歌手、アイドル、司会者、ニュースキャスターとして活躍(撮影/蜷川実花、hair & make up 竹内美徳 styling 前田勇弥 costume semoh)
櫻井翔(さくらい・しょう)/1982年生まれ、東京都出身。俳優、歌手、アイドル、司会者、ニュースキャスターとして活躍(撮影/蜷川実花、hair & make up 竹内美徳 styling 前田勇弥 costume semoh)

 俳優として、ニュースキャスターとして、アイドルとして、第一線で活躍を続けている櫻井翔さん。仕事に対しての誠実な姿勢は、常に変わらない。AERA 2023年4月10日号から。

【写真】蜷川実花が撮った!AERAの表紙を飾った櫻井翔さんはこちら

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――ドラマ「ネメシス」の映画化にあたり、約2年ぶりに探偵・風真尚希を演じた。

櫻井翔(以下、櫻井):ドラマを撮影していた数カ月間で作られていった風真像からはみ出さないよう演じました。広瀬すずさん演じるアンナに向ける愛情や江口洋介さん演じる栗田さんに向けるリスペクトは忘れないように意識しました。

――難解な上に非常に長いせりふを高いスキルで演じた。入江悠監督は称賛したという。

櫻井:入江さんが褒めてくれていたとは知らなかったです(笑)。その長いせりふの撮影スケジュールは、明らかに僕がミスをしないことを前提に組まれていたんです。非常にプレッシャーを感じて、練習あるのみでしたね。

 現場は言わば試合会場なので、そこで基礎練習をやるわけにはいかない。となると、家で練習をするしかありません。ことせりふに関しては怠ける方法がないのでやる一択です。

■長いせりふが多い

 その長ぜりふの後にカザラップのシーンを撮ったんですが、入江さんの希望でアドリブを入れました。そのときはせりふからの解放感でいっぱいでしたね(笑)。

 なぜだかわからないんですが、僕が演じる役は長ぜりふが多いんです。台本を読んで、「まただ」と思うこともありますが(笑)、やっぱり練習するしかありません。連続ドラマの場合、途中でスピーディーにせりふが覚えられるゾーンに入ることがあるんですが、それも練習の積み重ねによって回路ができていくんでしょうね。

――40代になり、間もなく芸能生活30年を迎える。ベテランといっていいキャリアを持つが、「仕事への取り組み方は変えたくない」と話す。

櫻井:経験を重ねると、最短距離を進む方法を覚えてしまいますが、なるべくその方法を取りたくないんです。どれだけプロセスに時間をかけてきたかは見ている人に伝わると思っています。だからこそ、楽をせずにきちんと段階を踏んで準備をしたい。年齢を重ねている自分を律する目的もあります。

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