大宮エリーさん(左)と野口聡一さん(photo 写真映像部・加藤夏子)
大宮エリーさん(左)と野口聡一さん(photo 写真映像部・加藤夏子)

 作家・画家の大宮エリーさんの連載「東大ふたり同窓会」。東大卒を隠して生きてきたという大宮さんが、同窓生と語り合い、東大ってなんぼのもんかと考えます。4人目のゲストは3度の宇宙飛行を経験した野口聡一さんです。

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*  *  *

大宮:宇宙飛行士になるきっかけはなんだったんですか?

野口:東大を出てIHIに入って5年目の頃、工場で油まみれの部品を運んでて、このままじゃ終わらないぞって思って社内の海外留学制度にトライしようかなと考え始めた時期に、この宇宙飛行士募集があったんです。

大宮:どこで募集を見たんですか?

野口:社内報です。会社が宇宙関連のニュースは結構ピックアップしてくれてて。

大宮:会社員やりながら、特別の勉強とかしたんですか。

野口:宇宙飛行士は特別な準備ってなくてね。ともかくいっぱい面接がある。いま13年ぶりに宇宙飛行士の選抜をしているけど、閉鎖環境の試験や医学テストなんかも対策のしようがない。

大宮:どういう基準で選んでいるんだろう。

野口:すごく面接の時間が長いね。会って話せばわかるというのがある。

大宮:そういうもんですか。これまで宇宙飛行士の方に3人お会いしたけど、みなさん冷静沈着な方だった。

野口:落ち着いた感じの人は確かに多いかもしれないですね。

大宮:東大に行ってよかったな、みたいなこととかあります?

野口:ないっすね(笑)。そう言っちゃうとあれですけど。

大宮:いや、いいと思います(笑)。

野口:ただ、社会に出てね、「この人できるな」と思うと東大出っていうことがあるじゃない。

大宮:あります、あります。

野口:そういうときにすごくいいなと思いますね。我々東大卒業生って、慶應の三田会とか早稲田の稲門会みたいなネットワークはないけど、なんとなく話が通じるところがある。三田会の人なんかは会のために貢献もするけど、東大卒業生はまったくそういう貢献はしなくて都合のいいときだけ「東大です」みたいな(笑)。

大宮:おっしゃる通り!

野口:それでなんとなく許されるというか、そういう意味では、楽だな。

大宮:確かに。

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