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「台湾有事は起きない」 中台にとって「あいまいな現状維持」が有利なワケ

田岡俊次AERA
台湾の蔡英文総統は昨年9月、台湾海峡にある澎湖島の空軍基地を訪れ、戦闘機を背に兵士らを激励した (c)朝日新聞社

台湾の蔡英文総統は昨年9月、台湾海峡にある澎湖島の空軍基地を訪れ、戦闘機を背に兵士らを激励した (c)朝日新聞社

AERA 2021年4月26日号より

AERA 2021年4月26日号より

 中国を警戒する米国は台湾有事に言及し、日本でも危機論が高まりつつある。だが、経済上も安全保障上も、現状維持が中国、台湾ともに有利なのは明白だ。AERA 2021年4月26日号から。

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 米国のインド太平洋軍司令官に指名されたジョン・アキリーノ海軍大将は3月23日の上院軍事委員会で「中国の台湾侵略は思いのほか早く来ると考える。6年以内に軍事行動を起こす可能性がある」と述べた。前任者フィリップ・デビッドソン大将の説を引き継いだのだが、戦争が始まる時期を特定しただけに、日本でも「台湾危機に備え覚悟を決める必要がある」との論が高まりつつある。

 だが、軍人は危機を訴えて予算獲得を図りがちだ。証券会社員が株価の上昇を語って投資を勧めるのと似ているから、なるべく客観的な分析が必要となる。

■現状維持は計87.6%

 台湾が名実共に独立国家になろうとすれば、中国は阻止しようと軍事的威嚇を行い、効果が無ければ武力行使に向かう可能性は高い。だが、台湾当局の大陸委員会が例年行う世論調査では昨年11月の時点で、「すみやかに独立」を望む人は5.0%にすぎず、「現状維持後に独立」が20.8%、「永遠に現状維持」が29.9%、「現状維持後状況を見て決めるべきだ」も29.9%、「現状維持後に統一」が7.0%、「すみやかに統一」は1.1%だった。現状維持を望む人は計87.6%に達し、早急に独立、統一を目指す人々は全くの少数派となっている。米中関係の悪化を案じてか、現状維持派は近年増加の傾向だ。

 このため選挙では左派で独立志向の民進党は「統一反対」を唱え、保守派で親中的な国民党は「独立反対」を訴えて、主張は中央の現状維持に収束する形となっている。

 民進党の蔡英文(ツァイインウェン)総統も中国に反発を示す一方で「独立主権国家だと宣言する必要はない。我々は事実上独立している」としばしば述べ、憲法改正や独立宣言には慎重な姿勢を保っている。


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