「食べチョク」秋元里奈 生産者ファーストの仕組みで農家を支える<現代の肖像> (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「食べチョク」秋元里奈 生産者ファーストの仕組みで農家を支える<現代の肖像>

三宅玲子AERA
どこに行くにも、365日、「食べチョク」のロゴ入りのTシャツで現れる(撮影/山本倫子)

どこに行くにも、365日、「食べチョク」のロゴ入りのTシャツで現れる(撮影/山本倫子)

生産者からの直接配送は、鮮度が高いものを早く届けられる半面、生産者が自身で作業を行う時間と手間がかかる。この日は千葉県我孫子市の農園「ベジLIFE!!」に香取岳彦(左端)を訪ね、野菜の梱包や配送の方法について意見を求めた(撮影/山本倫子)

生産者からの直接配送は、鮮度が高いものを早く届けられる半面、生産者が自身で作業を行う時間と手間がかかる。この日は千葉県我孫子市の農園「ベジLIFE!!」に香取岳彦(左端)を訪ね、野菜の梱包や配送の方法について意見を求めた(撮影/山本倫子)

調理できる台所のあるオフィスを探した結果、一軒家に行き着いた。週に1回、料理当番がつくってみんなで食べる日がある(撮影/山本倫子)

調理できる台所のあるオフィスを探した結果、一軒家に行き着いた。週に1回、料理当番がつくってみんなで食べる日がある(撮影/山本倫子)

「食べチョク」代表、秋元里奈。野菜や果物、米など、ネットで注文すると農家から直送されてくる。生産者の顔も見えるのが「食べチョク」のサイトだ。農家の手元には売値の8割が入ることになり、これは従来に比べると相当高い。これこそが、秋元里奈が起業した狙いだ。実家が農家だった。ITの大手企業に就職したが、農家が報われにくい事情を知ると、導かれるように「農」に戻った。

【写真】生産者を訪ね、野菜の梱包や配送の方法について意見を求める秋元さん

*  *  *
米軍の補給基地の傍をしばらく歩くと、住宅地に出た。秋の終わりの週末、ベランダに洗濯物が鈴なりの家や駐車スペースで子どもがボール遊びをする風景をやり過ごした頃、生け垣で守られた小さな墓地が現れた。それは一家族のためだけの墓だった。脇に明治以降の家族の墓誌が刻まれている。さらに歩みを進めると、広い敷地とコンクリート造りの大きな屋敷が見えた。

 東京・新宿から電車で1時間、神奈川県相模原市で代々農業を営んできた家だ。
「遠いところから、わざわざ、いらっしゃい」
 広々とした玄関で朗らかな笑顔に迎えられた。

 オンラインマルシェ「食べチョク」を経営する秋元里奈(あきもとりな)(30)の実家を訪ねていた。明治初期に分家して、母の秋元里子(さとこ)(70)で5代目だ。

 秋元家6代目の秋元が始めた食べチョクの仕組みはこうだ。農家は自作の野菜や果物の値段を自分で設定し、食べチョクのサイトで販売する。購入者が注文すると、農家から直接注文品が送られてくる。米、魚、肉、飲料の取り扱いもある。

 卸売業者を通す一般的な販売ルートだとおよそ3割が農家の取り分だが、食べチョクでは中間業者を通さないため、手数料2割を除いても実に売値の8割が生産者の手元に残る。農家に生まれ育った秋元が、農家の仕事が正当に評価される仕組みを目指して進めてきたサービスだ。

 2020年春、サービス開始3年目の食べチョクに、農家や漁業関係者から、コロナの影響で売れない、困っているとのSOSが急増した。そこで食べチョクでは新規登録した生産者が翌日には出品できるよう社内体制を強化すると同時に、生産者応援キャンペーンを開始。巣ごもり生活になったユーザーが購入しやすいよう、送料のうち500円を自社で負担。21年1月時点で3500の生産者が登録し、実数は非公開だが、ユーザー数は前年比で24倍、流通額は42倍に伸びた。


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