スマホを利用する現代人は、集中力の持続スパンがどんどん短くなってきている。実際に、映画を見るための2時間を「耐えられない」と感じている人が増えている。AERA 2021年1月18日号から。
【「画面の前で2時間」が耐えられない! スマホ世代の集中力に異変】から続く
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アエラがSNSなどを通じて実施した動画視聴に関するアンケートでも、世代や性別を超えてさまざまな「耐えられない」声が集まった。
コンサルティング会社に勤める男性(37)は、コロナ禍で視聴習慣が変わったという。在宅時間にYouTubeを見る機会が増加し、効率よく見るために、1.5倍速にするようになった。すると、いつの間にか映画も通常の速度では見られなくなっていた。男性は言う。
「倍速にして、会話がないシーンや風景描写は飛ばしています。自分にとって映画はその瞬間の娯楽にすぎないんです」
コロナ禍でユーザー数を増やしたネットフリックスやアマゾンプライムなどの定額配信サービス(サブスク)だが、映像作品へのハードルは下がった一方で、その分「ありがたみ」が薄れたという声もあった。
だが、都内の女性(44)にとっては自由度の高さが快適だ。女性は、そもそも自分に「長時間視聴の適性がない」という。青春時代は90年代のミニシアターブーム真っただ中、映画は最も身近で文化的な娯楽だった。家族で毎週、「金曜ロードショー」も見ていた。だが、一人暮らしを始めたら、それが楽しくなくなった。
「一人で映画を楽しめないタイプだと気付いたんです。目と耳しか動いていない状況がもったいないし、映画を観るためには2時間は画面の前にいなければならない。時間の主導権を自分で握りたいのかもしれません」
■1話15分のテンポ
女性はアマゾンプライムとHuluに加入しているが、サブスクなので中断も再開も自由なのがありがたい。子どもと一緒、あるいは家事をしながらの視聴を楽しんでいる。
韓国ドラマ好きの会社員女性(48)が昨年ハマったのは、第4次韓流ブームを牽引したネットフリックスのドラマ「愛の不時着」だった。その面白さに「一気見した」が、女性なりのルールがあった。