「親から得られなかった愛情を施設で受けた」児童養護施設出身の女性が同じ境遇の若者を支援 山本昌子<現代の肖像> (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「親から得られなかった愛情を施設で受けた」児童養護施設出身の女性が同じ境遇の若者を支援 山本昌子<現代の肖像>

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三宅玲子AERA
グループホームの真裏にある公園がいつもの遊び場だった。数年ぶりに来てみると、遊具が小さく感じられた(撮影/岡田晃奈)

グループホームの真裏にある公園がいつもの遊び場だった。数年ぶりに来てみると、遊具が小さく感じられた(撮影/岡田晃奈)

YouTube番組「THREE FLAGS」では、児童養護施設を始め、社会的養護をテーマに発信している。自宅の3階をスタジオにした。メンバーのブローハン聡(左)はモデル・タレント、西坂來人(右)は映像作家・絵本作家(撮影/岡田晃奈)

YouTube番組「THREE FLAGS」では、児童養護施設を始め、社会的養護をテーマに発信している。自宅の3階をスタジオにした。メンバーのブローハン聡(左)はモデル・タレント、西坂來人(右)は映像作家・絵本作家(撮影/岡田晃奈)

 山本昌子さんは生後4カ月で乳児院に預けられ、3歳になる直前から児童養護施設で育ちました。父親とは定期的に会い、施設の先生にも恵まれ、明るい性格。けれども、どこか否定的に生きていることに友人の一人が気がつきます。その友人は、山本さんが成人式に参加しなかったことを知ると、山本さんに振り袖を着せ、写真館で写真を撮りました。山本さんはそのときに感じた自分自身の思いを分かち合いたいと、同じく養護施設出身の若者に晴れ着を着せる「ACHAプロジェクト」を立ち上げました。

【写真】YouTube番組「THREE FLAGS」では、児童養護施設を始め、社会的養護をテーマに発信

*  *  *
 緊張のためか、山本昌子(27)は会議室の隅からでもわかるほど胸元が紅潮していた。

「私は親からは得られなかった愛情を、施設の先生から受けて育つことができました」

 東京・霞が関の厚生労働省。テーブルを挟んだ向かいの席には厚労省、文部科学省、警察庁から出席した官僚が5人。

 国会議員・芳賀道也の計らいにより設けられたこの場で、山本は児童養護施設を卒園した若者のトラウマケアの問題を訴えていた。何らかの理由により親が育てられない家庭の子どもを養育する児童養護施設は全国に605カ所ある。原則3歳から18歳まで約2万5千人の子どもたちが生活する場だ。ここ10年、親からの虐待が原因で保護される子どもの数は増える一方だ。虐待のダメージが発達障害やトラウマとして残り、治療を必要とする子どもは少なくない。治療に長い年月を必要とする場合もある。施設在園中の適切なケアと、卒園後の治療費の免除を求める要望書を提出するのが9月下旬のこの日の目的だった。山本は冒頭の言葉にこう続け、5人の大人をたじろがせた。

「国の制度のおかげで無事に育ててもらいました。ありがとうございます」


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