「我々の研究グループは2012年、免疫細胞であるマクロファージが体温の上昇によって活性化することを発見しました」

 マクロファージは白血球の一種で、体内に細菌やウイルスが侵入すると駆けつけて捕食してくれる。実験の結果、深部体温が上昇して38.5度になると、マクロファージの動きが増強することがわかったという。

「免疫機能以外にも、深部体温を上昇させることでインスリンの働きが活発になること、皮膚を温めることで肌のバリア機能が高まることもわかってきました。体を温めることで様々な機能が高まることは間違いありません。入浴で外から温めるのも効果的ですが、運動して自分で熱を作ること、筋肉をつけることが一番大事です」

■まず下半身を鍛える

 では、効率的に筋肉を鍛えるには、どうしたらいいのか。筑波大学人間総合科学学術院の久野譜也教授は、まずは下半身の筋肉を鍛えることが重要だという。

「人間は上半身より下半身の筋肉量が圧倒的に多い。とくに上半身と下半身をつなぐ『大腰筋(だいようきん)』と、太ももの前面にある『大腿四頭筋(だいたいしとうきん)』は重要です」

 体温は加齢と共に低下するが、筋肉量もまた、30代から低下していく。久野教授の研究によると、40代からは年に1%低下し、とくに下半身の筋肉の減少が大きいという。だからこそ、「筋トレはまず下半身、そのためにはスクワット」(久野教授)。

 久野教授に、一般的なスクワットよりもさらに効果的な「まき割りスクワット」を教えてもらった。5セット連続でやると効果的だというが、難しい場合は途中で休憩をはさんでもかまわない。また、筋トレ効果を高めるために、大切なポイントが三つある。

 一つは、「ゆっくり」。家庭で行う筋トレは、ウェートなどを使ったジムでのトレーニングに比べると負荷が少ないが、ゆっくり行うことで筋肉は重い負荷がかかっていると錯覚し、トレーニング効果が高まる。

 次は「呼吸」。筋肉に強い力がかかると血管が収縮する。血圧上昇を避けるためには呼吸を止めないこと。とはいえ、力が入ると無意識のうちに呼吸が止まってしまうこともある。そんなときは声に出して数を数えると、自然と呼吸することができる。

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