AERA 2020年10月12日号より
AERA 2020年10月12日号より

 一口に歩き方といっても、腕の振りや姿勢、体重移動など注意点は多い。一度にすべてを正そうとせず、ポイントを押さえていくことが大切だ。正しい歩き方が一度身につけば一生モノ、努力するだけの価値はある。AERA 2020年10月12日号は「歩き方」を特集。

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「まずは自分が歩いている動画を撮って、じっくり観察してみてください」

 こう話すのは、『10歳若返る骨盤腸整ウォーキング』の著者でウォーキング講師の山崎美歩呼さんだ(※山崎の「崎」は正しくは「立さき」)。山崎さんの教室では、最初に生徒に自分の歩き姿を動画で見てもらい、歩き方を自覚してもらうことから始めるという。

 というわけで、筆者の歩行中の動画を山崎さんに送って見てもらった。「腕の振りが左右で違う」「背になっている」「つま先が上がらず、歩幅が狭い」「体重移動ができていない」などのダメ出しを受ける。あまりの多さに不安になるが、山崎さんによるとほとんどの人が同様の問題を抱えているという。

 しかし、欠点がわかっただけでは、直せる気がしない。そこで山崎さんに、正しい歩行姿勢をつくるストレッチを教えてもらった。

 これらのストレッチを実行して体を整え、同時に歩行時にも姿勢を意識することが大切だという。たとえば、しっかり背筋が伸びれば腕が後ろに振れるようになり、上半身が前のめりになるのを防ぐ。また、かかとで着地してつま先で蹴る動作ができるようになると、ふくらはぎの筋肉がしっかり使えるようになる。すると、血液循環が改善し、基礎代謝向上も期待できるという。

「とくに首、肩甲骨、腰、お尻、もも、ふくらはぎなど、体の後ろ側にある筋肉を意識してください。間違った歩き方を続けるのは、曲がった釘をガンガン打ち続けるようなもの。でも、一度正しい歩き方を身につければ一生モノです」(山崎さん)

 福岡県在住の看護師・田中聖子さん(44)は山崎さんの指導で歩き方を変え、約2カ月で12キロの減量に成功した。もともと猫背で反り腰だったことから、「お尻の筋肉が使えていない」と指摘されたという。

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