「反抗者は逃がさない」と金正男氏暗殺で示した北朝鮮 実行犯が“口封じ”されない背景に日本の拉致問題も (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「反抗者は逃がさない」と金正男氏暗殺で示した北朝鮮 実行犯が“口封じ”されない背景に日本の拉致問題も

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北野隆一AERA#北朝鮮
2016年6月、パリで知人と会食する金正男氏。北朝鮮国外を転々としていたが、17年2月に暗殺された(写真:関係者提供)

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ベトナム人ドアン・ティ・フォン被告(右)は芸能界を夢見た。インドネシア人シティ・アイシャ被告は工作員に心ひかれていた (c)Backstory, LLC. All Rights Reserved.

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Ryan White/1981年生まれ。映画監督。米国の性的少数者やスポーツ選手などのドキュメンタリー映画を製作。マレーシアでの取材は初めて (c)Backstory, LLC. All Rights Reserved.

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 2017年2月、マレーシアの空港で北朝鮮の最高指導者・金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の長兄、金正男(キムジョンナム)氏が、顔に猛毒の神経剤VXを塗られて暗殺された。実行犯として逮捕されたのは、インドネシア人とベトナム人の若い女性。2人は見知らぬ男性の顔に「オイル」を塗って逃げるイタズラ動画の撮影だと誘われて実行したという。ライアン・ホワイト監督のドキュメンタリー映画「わたしは金正男を殺してない」(米国、1時間44分)では2人の女性の素顔に迫っているが、それでも謎は残る。AERA 2020年10月5日号では、この奇妙な暗殺事件について取り上げた。

[前編:芸能界を夢見た女性が暗殺犯に…「犯行時までテレビに出演していると信じていた」より続く]

[写真】実行犯として逮捕された若き2人の女性がこちら
*  *  *
 なぜ暗殺事件は起きたのか。

 金正男(キムジョンナム)氏は金正日(キムジョンイル)総書記の長男。2001年に偽造旅券で日本に不法入国したことが発覚して以来、後継者レースから脱落し、国外生活を続けていた。

 北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」の高英起(コウヨンギ)編集長は、この事件について、「1987年の大韓航空機爆破事件以来、北朝鮮が久しぶりに手がけた政治的テロ事件であると同時に、北朝鮮の指導者一族の血統をめぐる家族内の骨肉の争いだろう」とみる。

 古今東西、世界の王朝で親子や兄弟が王位をめぐって殺し合う事件は枚挙にいとまがない。「金正恩氏は金正日氏の三男。母親違いの長兄・金正男氏は、建国の英雄である祖父・金日成(キムイルソン)主席にもかわいがられた『長男の長男』。正男氏自身が『政権には関心がない』と言い続けても、『白頭の血統』といわれる自分の正統性を脅かす存在である限り、抹殺しなければならなかったのではないか」

■いまだに工作活動の国

 衆人環視の国際空港ロビーでVXを顔に塗りつけるという奇妙な方法をとった理由についてホワイト氏はこう推測する。「北朝鮮は、誰にも知られずひそかに金正男を殺すこともできたはず。あえてスペクタクル(見せ物)にすることで『反抗する者は、どこにいても逃がさない』と示し、世界の注目を集めたかったのではないか」


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