※勤続年数38年で退職金2060万円の人がiDeCoで運用していた場合、一時金受け取りと年金受け取りのどちらがトクになるかをシミュレーションした結果。前提条件の詳細はAERA増刊『AERA Money今さら聞けない投資信託の基本』に掲載
※勤続年数38年で退職金2060万円の人がiDeCoで運用していた場合、一時金受け取りと年金受け取りのどちらがトクになるかをシミュレーションした結果。前提条件の詳細はAERA増刊『AERA Money今さら聞けない投資信託の基本』に掲載
「年金として受け取ると、社会保険料分の税金までかかるケースがあるため、一時金として受け取ったほうが有利になるケースはよくあります」と、ファイナンシャルプランナーの平野雅章さん(撮影/小山幸佑)
「年金として受け取ると、社会保険料分の税金までかかるケースがあるため、一時金として受け取ったほうが有利になるケースはよくあります」と、ファイナンシャルプランナーの平野雅章さん(撮影/小山幸佑)

 iDeCoの税金メリットは多くのメディアが解説しているが、受け取るときの税金に関する記事はそれほど多くない。

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 AERA増刊『AERA Money 今さら聞けない投資信託の基本』では、2つあるiDeCoの受け取り方法のうち、どちらがトクなのかを徹底検証している。その記事から大事な部分をご紹介。

 「iDeCoの場合、自分のつみたてた掛け金と運用益をどのように受け取るかで払う税金などが大きく変わります」

 と語るのは、ファイナンシャルプランナーの平野雅章さんだ。

 iDeCoの掛け金、運用益の受け取り方は2種類から選べる。一つは60歳以降70歳までの間に、退職金のように一時金として受け取る方法。この場合は、会社員の退職金と同じように「退職所得控除」が適用される。

 もう一つは、60歳以降、5年から20年の期間で年金として受け取る方法。この場合は「公的年金等控除」が適用され、控除後の課税所得金額が雑所得扱いとなり、他の収入と合わせて総合課税される。なお、iDeCoでは一部を一時金として受け取り、残りを年金で受け取る形の組み合わせも可。

 会社員の退職金に適用される退職所得控除は、勤続年数に応じて控除分が計算される。勤続年数20年以下なら「年40万円×勤続年数」。20年以上なら「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」が控除額になる。

 たとえば勤続20年の人なら800万円、30年なら1500万円、40年なら2200万円までの退職金には税金がかからない。しかも課税されるのは「退職金から退職所得控除額を引いた額の2分の1のみに対して」だ。

 iDeCoの一時金での受け取りには退職所得控除が適用されるが、iDeCo分の計算は前述の「勤続年数」を「iDeCoの加入期間」に置き換えて計算する。退職金がない自営業者も同様に「加入期間」で控除額を計算すればいい。

 会社員の場合、退職所得控除は「勤続年数」と「iDeCoの加入期間」が重なっている場合、長いほうの期間で計算する。勤務先からの退職金とiDeCoの一時金を合計した金額がギリギリ控除額までに収まるラインで受け取るのが理想的だ。

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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大企業勤務はiDeCoに控除が適用されない!?