厚底の黒船来航 日本の陸上界が「薄底」シューズを好んできたワケ (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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厚底の黒船来航 日本の陸上界が「薄底」シューズを好んできたワケ

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小柳暁子AERA
藤原岳久(ふじわら・たけひさ)/1971年、神奈川県生まれ。東海大学陸上競技部出身。47歳で2時間34分台の自己ベスト。日本フットウェア技術協会理事。元メーカー直営店店長でシューズの販売歴20年以上(撮影/編集部・小柳暁子)

藤原岳久(ふじわら・たけひさ)/1971年、神奈川県生まれ。東海大学陸上競技部出身。47歳で2時間34分台の自己ベスト。日本フットウェア技術協会理事。元メーカー直営店店長でシューズの販売歴20年以上(撮影/編集部・小柳暁子)

ナイキのヴェイパーフライは、今大会で実に8割以上の選手が履いた。クッション性の高さと軽さの両立が実現したという (c)朝日新聞社

ナイキのヴェイパーフライは、今大会で実に8割以上の選手が履いた。クッション性の高さと軽さの両立が実現したという (c)朝日新聞社

箱根駅伝で選手が使用したシューズメーカーのシェア(AERA 2020年1月20日号より)

箱根駅伝で選手が使用したシューズメーカーのシェア(AERA 2020年1月20日号より)

 青山学院大学の優勝で幕を閉じた今年の箱根駅伝。その結果とともに注目されたのが、青学を含む出場選手の84.3%が、ナイキの「ヴェイパーフライネクスト%」を着用していたことだ。これまでアディダスを使用してきた青学が、今回初めてナイキを履き、優勝したことは大きな衝撃だった。AERA 2020年1月20日号では、変化の時を迎えつつある、箱根駅伝のシューズ事情を取材した。

【表で見る】ナイキ8割超え! 箱根駅伝で選手が使用したシューズメーカーのシェア

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 ナイキとアディダスは、世界シェアを争う絶対的ライバルだ。なぜこんなに差がついたのか。シューズアドバイザーで藤原商会代表の藤原岳久さん(49)は、こう分析する。

「職人が作ったブランドと、アスリートが作ったブランドの違いが鮮明になってきました」

 アディダスの創業者、アドルフ・ダスラーはドイツの靴職人で、一貫して「ものづくり」のブランド。ロボットやAIによる技術革新といった第4次産業革命の理念に共鳴し、近年では「スピードファクトリー」というほぼ全自動の工場に投資していた(その後閉鎖)。

 一方、ナイキの創業者、フィル・ナイトは自身が陸上選手出身で、オニツカ(現・アシックス)のタイガーのアメリカ販売権を取得し、米国でタイガーを広めた。

 ヴェイパーフライは、ケニアのエリウド・キプチョゲ選手が挑戦した「ブレーキング2」というナイキによるフルマラソン2時間切りのタイムトライアルのために開発された。

「ナイキはアスリートのために採算に合わないことをやります。エチオピアのハイレ・ゲブレシラシエ選手から5回、アディダスの選手が世界記録を更新してきましたが、人類で初めて2時間切りをしたキプチョゲ選手からナイキになりました」

 そう話す藤原さんは、「ナイキが革新的なのは、既製品でやったということ」だと言う。

 藤原さんによると、アディダスは選手に合わせてカスタムして作ることに力を入れてきたという。カスタムは一見選手にとっていいように思えるが、手で作るとどうしても微妙なサイズ感の違いなど作りムラができる。しかし月に千キロ以上走る選手にとって靴は消耗品。履きつぶすたびに同じものがないと困るのだ。一方、既製品として生産管理をして生産すれば、均一に同じモノができる。

「アディダスに限らず、カスタムを戦略として打ち出すのはもう時流から外れているかもしれません」(藤原さん)


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