●公費を使った大嘗祭には批判の声も

 最初に紹介した「即位礼正殿の儀」と「饗宴の儀」「祝賀御列の儀」は国の行事(憲法が定めた国事行為)として行われた。一方、皇室の行事として行われたのが、11月14、15日にあった「大嘗祭」の中核儀式「大嘗宮の儀」だ。

 毎年11月23日には、その年に収穫された米を神々に供え、国家安寧などを祈る「新嘗祭」が行われている。天皇の即位後、初めての新嘗祭が「大嘗祭」で、一度しか行われない。

 皇居の北東側に広がる庭園・東御苑に、この大嘗祭のために神殿「大嘗宮」が建てられたが、儀式が終われば壊すことになっている。

 これらの一連の行事をめぐっては、問題があると言う人もいる。大嘗祭に関連する総額費用は約24億4千万円かかり、国の公費が使われた。だが、儀式は宗教色が強く、神殿内部の様子はほとんど公開されなかった。天皇陛下の弟である秋篠宮さまは、公費ではなく、天皇家の「私費」である「内廷会計」を使うべきだという考えを明かした。

 前回の平成の即位行事のときは、全国各地で様々な意見が上がったが、今回はそうした動きはあまり見られなかった。

 公式行事ではないが、11月9日の夕方には、皇居前広場で「国民祭典」の祝賀式典が開かれた。芸能やスポーツ、経済界の著名人など約3万人が参加した。

 安倍晋三首相がお祝いを述べた後、この日のために作られた組曲が披露された。3部構成で、オーケストラの演奏、ピアニストの辻井伸行さんのピアノ演奏に続き、嵐の5人が登場。黒のスーツにちょうネクタイ姿で、「Journey to Harmony」を歌った。歌詞には、天皇陛下が水問題の研究をライフワークとしていることから「僕らの幸せも大河にすればいい」など、水に関連するフレーズもあった。皇后雅子さまは涙ぐんで感激していた。(朝日新聞社社会部・長谷文)

※月刊ジュニアエラ 2020年1月号より

ジュニアエラ 2020年 01 月増大号 [雑誌]

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AERA編集部
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