魂のこもったプレーで列島を沸かせた日本代表の選手たち。8強入りの経験を生かし、さらに上を目指して再スタートする(撮影/写真部・東川哲也)
魂のこもったプレーで列島を沸かせた日本代表の選手たち。8強入りの経験を生かし、さらに上を目指して再スタートする(撮影/写真部・東川哲也)
来年は東京五輪で7人制ラグビーを応援!(AERA 2019年11月4日号より)
来年は東京五輪で7人制ラグビーを応援!(AERA 2019年11月4日号より)

 強豪を次々に破り、ベスト8入りを果たしたラグビー日本代表に列島が沸いた。戦いを終えた選手は、そして日本ラグビーは、新たな道を歩き始めた。AERA 2019年11月4日号に掲載された記事を紹介する。

【来年は東京五輪で7人制ラグビーを応援!7人制の特徴とは?】

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 準々決勝で南アフリカに敗れた後、選手たちはコーチやスタッフと共にピッチ上で肩を組み、最後の円陣を組んだ。その輪の中で稲垣啓太(29)はこう思ったという。

「ああ、次、このメンバーで試合をすることはないんだなという寂しさを感じました」

「ONE TEAM」を合言葉に臨んだラグビーW杯で初のベスト8入りを果たした日本代表は、敗退の翌日にチームを解散し、それぞれの道を進み始めた。

 スピードを生かしてトライを量産した「ダブルフェラーリ」の一人、福岡堅樹(27)。試合後はしばらく芝の上に寝転がり、空を見上げていた。

「終わったなーって。ふと寂しくなるような気持ちで」

 この大会限りで15人制の日本代表から引退すると決めて臨んでいた。今大会はアイルランド戦の逆転トライなど計4トライを挙げた。試合後のミックスゾーンでは、記者からもう少し続ける気はないかと問われ、

「ここまで頑張れたのはここが最後だから。後悔はありません」

 とすがすがしい表情で言い切った。次は五輪種目である7人制ラグビーの日本代表入りを目指していて、来年の東京五輪を現役最後の舞台と決めている。その後はもうひとつの夢である医師の道を進むからだ。

 7人制ラグビーは、15人制と同じフィールドを使い、半分以下の人数でやるため、展開がスピーディー。五輪競技に採用されたリオ大会では男子代表が強豪ニュージーランドのオールブラックスを倒すなどして4位に入賞。アジアセブンズシリーズ2019は男女とも日本が総合優勝するなど来年の東京五輪での活躍が期待される。

「勝つためのマインドセットや準備の仕方をチームメートとも共有して、セブンズでも『ONE TEAM』を作れたらと思います」(福岡)

 もう一人の「フェラーリ」、松島幸太朗(26)はW杯での自信を手に海外挑戦を視野に入れる。

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