「1、2が水分量の少ない硬い便。3、4、5が健康的な便と言われるバナナ状のもの。6、7は下痢がちの便ですね。1、2、6、7が多かった人たちも、アプリを2週間使うと3~5の比率が高まったんです」

 記録することによって、人は“よりよい選択”をし始めるからだという。レコーディングダイエットなどと同じ仕組みだ。

「うんちを見て色が黒かったら、昨日油物を食べすぎたからかな、今日は野菜をとってみようかな、と振り返るきっかけになりますよね」

 便を見ることで、わかる病気もある。例えば「Babyうんち」というアプリは、ウンログが聖路加国際大学と共同で開発した。生後2~4週間の赤ちゃんの胆道閉鎖症を早期発見するためのアプリだ。胆道閉鎖症は、肝臓と腸を結ぶ胆管がつまり、胆汁が腸に流れなくなってしまう病気で、新生児の1万人に1人の割合で発症する。

 便色の変化が病気発見のきっかけになるが、素人が目視で判別するのは難しい。アプリでは、胆道閉鎖症の子どもと健康な子どもの便の写真の色情報を機械学習させてあり、赤ちゃんの便をiPhoneで撮影すると、機械が便の色を自動判定するという。

 ユーザーのコミュニティーを作ったり企業とコラボし商品開発をしたり、活動の幅を広げてきたが、見据えているのはもっと先。

「まだまだうんちに関して無関心な人も多い。出ればいい、としか思っていない人の意識を変えていきたい。腸内環境によってタイプ分けし、パーソナライズした腸活アドバイスを可能にしたいと思っています」

 もう一人、便と腸内環境に注目し、ベンチャーを立ち上げた人物がいる。

 元プロサッカー選手の鈴木啓太さん(38)だ。15年10月に創業したAuB(オーブ)の代表を務める。AuBについて特筆すべきは“アスリート”をキーワードにしていること。4年かけて集め、解析したのはなんと、500人以上のアスリートの便。一般の人とアスリートでは腸内環境がどう違うのか。それを突き止めようと、大学等との共同研究に取り組んできた。

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