過度に健康を意識すると不健康になる──ではないが、ポジティブに考えるとかえってネガティブな自分を強く意識させてしまいかねない。

 今日得たもの、ここ最近得たもの、期間や質に関係なくプラスになったことを考えることが大切というわけだ。

「一日を振り返ったときに、今日は自己功績感を得ていないと思ったら、帰り際のコンビニで10円寄付をするだけでもいい。小さなハードルでも構わないので、自尊心を豊かにするプラスの6要素を満たしていく。そして、それを数える。そうすると、自分を尊んでいると思えるようになり、周囲の視線が気にならなくなっていきます」(同)

 感情は水のようなもの。何もしないと、いずれ限度を超え、氾濫する。下手をすると、溺れてしまう。目的という「水路」をつくることで、たまりつつあるネガティブな感情を流すようにする。その目的が、自分を豊かにする6要素に合致すると、なおのこと良い。

「独身だから、同性愛者だから、容姿が良くないからといった理由から、先のネガティブ6要素を抱いて視線を気にしてしまう人もいるでしょう。自分は周囲から浮いているんじゃないかと考えるよりも、『独身だからこそ、これだけ得るものがあった』と数えることが大切です」(同)

 まとめると「五つの処方箋」になる。自信回復に向けて、誰でも実践できそうだ。何かを劇的に変える必要はない。まずは最初の一歩を踏み出そう。(ライター・我妻弘崇)

AERA 2019年2月4日号より抜粋