カナダ当局に逮捕され、保釈された孟晩舟氏。現地報道によると、追跡装置を身につけてバンクーバーにとどまることなどが保釈の条件で、午後11時~午前6時は外出禁止という=ファーウェイ提供
カナダ当局に逮捕され、保釈された孟晩舟氏。現地報道によると、追跡装置を身につけてバンクーバーにとどまることなどが保釈の条件で、午後11時~午前6時は外出禁止という=ファーウェイ提供
カナダ・バンクーバーの裁判所前では、中国系とみられる人々が中国国旗を掲げて孟氏の保釈を訴えた(写真:Gettyimages)
カナダ・バンクーバーの裁判所前では、中国系とみられる人々が中国国旗を掲げて孟氏の保釈を訴えた(写真:Gettyimages)

 カナダで逮捕され、世界的な注目を浴びたファーウェイの孟晩舟CFO。謎のベールに包まれていた創業者一族の姿が明らかになってきた。

【カナダ・バンクーバーの裁判所前では】

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 カナダ・バンクーバーで1日、中国の情報通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)副会長兼最高財務責任者(CFO)の孟晩舟氏(46)が当局に逮捕された。制裁下のイランとの取引をめぐる不正を疑う米国の要請だったという。

 同じころ、大西洋を隔てたパリでは、もう一人の中国系女性が華やかに社交界デビューを飾っていた。

「でたらめに跳んでいるだけかも……」

 5日、そんなコメントとともに、自身が笑顔で華麗にジャンプする写真をインスタグラムに投稿したのは、バレリーナのアナベル・ヤオ氏(21)。パリで11月28日にあった国際的に著名な舞踏会に、世界から選ばれた19人の一人として登場した。彼女は、孟氏の妹でもある。

 2人の父親は、ファーウェイ創業者で最高経営責任者(CEO)を務める任正非氏(74)。任氏は3度結婚しており、最初の妻との間に生まれた長女が孟氏、2番目の妻との娘が次女のヤオ氏だ。離婚後、2人は母親の姓を名乗ったため、親子3人で名字が異なる。25歳も離れた異母姉妹だが、顔立ちはよく似ている。

 米ハーバード大学でコンピューター科学を学びながら、バレリーナとして世界の表舞台に躍り出たヤオ氏。フォーブス誌が最も影響力のある中国人女性トップ10の一人としたほどの実力者から、一気に容疑者へと転落した孟氏。対照的な2人のニュースが同時期に世界に流れたことで、秘密のベールに包まれてきたファーウェイ創業者一族の姿が次第に明かされてきた。

 一族については情報が少なく、中国でも「神秘」なのだという。筆者は中国籍や中国系の友人6人に聞いてみたが、特に孟氏に関しては、今回の逮捕劇まで名前すら聞いたことがないと口をそろえた。孟氏には弟の任平氏がおり、同社社員だが、正確な年齢すら分からない。謎多き任親子について、中国人の友人が、事件発覚後に流れ出した情報を教えてくれた。

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父親の任氏の口癖は…