世界から寄贈されたり集められたりした貴重な芸術品を破壊するなどもってのほかだと皇太子は怒ったとされる。

 一方ウィリアム王子は、皇太子70歳の記念に制作されたBBCのドキュメンタリー番組で、「父は忙しすぎる。孫と一緒の時間をもっと取ってほしい」と語り、「3人の孫に会わせてもらえないとチャールズ皇太子が不満に思っているらしい」という報道へ暗に反論もした。

 多くの英国民にとって、ウィリアムとハリー、2人の王子は仲むつまじく、特に母を失ってからは、互いに慰め合い助け合ってきた「理想の兄弟」だ。だが、メーガン妃の登場によって、兄弟の関係性に微妙な変化が起こったと思われている。

 メーガン妃の助言でハリー王子は皇太子との距離を縮め、ウィリアム王子と皇太子の間は離れていく。これまで一緒だった両王子の広報担当オフィスが、近くそれぞれ独立するという事実も、その見方に拍車をかける。ハリー王子とメーガン妃が、ウィリアム王子一家と暮らすケンジントン宮殿からウィンザー城のフロッグモア・コテージに来年早々に移ることも正式に発表された。王子たちは、別々の道を歩み始めている。(ジャーナリスト・多賀幹子)

※AERA 2018年12月17日号