昭和の古い習慣と捉えられがちな「飲みニケーション」。しかし今、好調企業がこぞって形を変えて取り入れていることをご存じだろうか? そこには人や企業の成長に欠かせない経営ツールとして大きなメリットがあった。
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●Sansan
社内の名刺をデータ管理するシステムを提供するSansan。社内では、こんな言葉がよく飛び交っているという。
「Know Me(ノーミー)しませんか?」
Know Meとは、他部署の社員と初めて飲む場合に会社から1人最大3千円の補助を受けられる制度だ。月2回まで(入社3カ月以内は月3回まで)利用でき、ランチなら1千円。少人数で深く語り合えるよう、1回の参加人数は最大3人に制限されている。
2007年創業の同社は現在毎月十数人を採用しており、社員数も400人に増えた。この制度は社員同士の横のつながりを生み出して生産性アップにつなげる狙いで、実際に制度をきっかけに、法人向け事業部と個人向け事業部のマーケティング担当者による勉強会が始まったこともあった。
Know Meの現場を見せてもらった。午後6時すぎ、本社と同じ東京・表参道のビルにある飲食店「マルマーレ」に集まったのは、今年新卒で入社したセールスディベロップメント部の寺田惇法さん(26)、人事部部長の大間祐太さん(35)、ブランドコミュニケーション部の深川絵三乃さん(34)。寺田さんが呼びかけて実現した。
この制度のいいところは、後輩からも誘いやすいところ。会社が後押ししてくれているから心強く、補助も出るので「おごってください」感もない。
お酒が進み、それぞれがこれまで参加した「Know Me」を語り始めた。
深川さんは入社当初、法人向けサービスを開発する部署にいた。どういう人たちに使ってもらうのかが想像できず悩んでいたとき、直接ユーザーと接触を持つ部署の人を誘った。
「そのとき『もっと現場の声を吸い上げてほしい』と言われ、開発の途中で試作版を作って確認してもらうようにしたんです。お客さんの声を反映させられるようになってよかったなって」