昔話には大人が読んでこそ、わかる知恵がある。

「たとえばイソップ童話の『3頭の牛とライオンの話』は、仲良くしていたときにはライオンに襲われなかったのに、喧嘩してバラバラになったら、一頭ずつ食べられてしまう──とか、大人になってこそわかる教訓や真理が隠れています。大人になってから考えると深い話だな、と気づくものも多いですよね」

 日本の民話も好きだという赤江さん。『まんが日本昔ばなし』の絵を使った絵本をくりかえし読んで、歴史好きになった。

 では、親子でどんなふうに読んでいるのか。

「自分が選んだり、いただいたりした絵本が20冊くらい並べてあって、そこから娘が読みたい本を抜き出すんです」

 小野さんの家と同じ方式だ。

「『トマトさん』や『うどんのうーやん』が最近のお気に入り。2冊とも、絵に勢いがあって、楽しいんですよね。『トマトさん』には昆虫もたくさん出てくるので、虫好きの私としては、娘にも早く触れさせておこうという気持ちもあって」

 これから一緒に読みたいな、と思っているのは、かこさとしさんの『どろぼうがっこう』。

「お話も落語的で面白いんですが、ページをめくるたび、画面の切り替えが素晴らしいんですよね。俯瞰する視点になったり、終盤、刑務所の壁が英字新聞だったり、手を抜いていません。かこさんの、子どもへの深い愛情を感じます」

(ライター・矢内裕子)

AERA 2018年7月23日号より抜粋