「スマホ世代の子どもでも物語は必要」角野栄子、高橋源一郎対談 (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「スマホ世代の子どもでも物語は必要」角野栄子、高橋源一郎対談

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矢内裕子AERA#読書
角野栄子(かどの・えいこ、右):童話・絵本作家。『魔女の宅急便』(1985年)は映画化され、世界で公開。今年、国際アンデルセン賞作家賞を受賞/高橋源一郎(たかはし・げんいちろう):作家、明治学院大学国際学部教授。『優雅で感傷的な日本野球』で第1回三島由紀夫賞受賞、ほか受賞多数(撮影/写真部・小山幸佑)

角野栄子(かどの・えいこ、右):童話・絵本作家。『魔女の宅急便』(1985年)は映画化され、世界で公開。今年、国際アンデルセン賞作家賞を受賞/高橋源一郎(たかはし・げんいちろう):作家、明治学院大学国際学部教授。『優雅で感傷的な日本野球』で第1回三島由紀夫賞受賞、ほか受賞多数(撮影/写真部・小山幸佑)

魔女の宅急便 (福音館文庫 物語)

角野 栄子,林 明子

978-4834018127

amazonamazon.co.jp

 国際アンデルセン賞作家賞を受賞した角野栄子さんと初の児童文学『ゆっくりおやすみ、樹の下で』を書いた高橋源一郎さん。ともに鎌倉在住の二人が語る、子どもの本を読む喜び、書く楽しさとは。

【大人になっても面白い子どもの本の魅力をフォトギャラリーでご紹介!】

*  *  *
高橋:僕は学生時代から鎌倉とは縁があって、今の妻と結婚して戻ってきたんですが、角野さんは引っ越して何年くらいになりますか?

角野:17年です。今回お書きになった『ゆっくりおやすみ、樹の下で』に出てくる「さるすべりの館」はどこにあるんですか?

高橋:わかりませんでした?

角野:大正時代に建てられた素敵な洋風建築がフレンチレストランになっているところがあるでしょう。あそこかな、と思ったんですけど、違うかしら。

高橋:そうです! 荘清次郎邸だったところです。小説では図面どおりに描写しているので、登場する「赤の部屋」も本当にあるんですよ。さるすべりの樹はつけくわえましたけれど。

角野:やっぱり。「あそこかな?」と思ったの。今回、本の帯を書かせていただいたのですが、ずいぶん緻密に伏線を張って、物語を構築なさっていて。

高橋:児童文学を書くのは初めてなので、「小学校1年生から14歳くらいまで」の想定読者をメインに、大人も読んでくれればいいな、とだけ決めて、あとは自由に書きました。僕には中1と中2の息子がいて、彼らにはたくさんの絵本や児童文学を与えて、この10年くらいは子育てをしながら、一緒に読んでいました。その経験が役に立ちましたね。

●娘の絵を見て思いつく

高橋:書き始めるとき、タイトルを先に考えますか?

角野:タイトルを思いつくこともあるけれど、たいてい絵を描くんです。絵といっても、いたずら描きで、人や町、建物の間取りを描いたり。

高橋:そのとき、どこまで具体的に描くんでしょう。

角野:たとえば『魔女の宅急便』は、娘が描いた「ラジオを聴きながら黒猫と箒(ほうき)に乗っている魔女」の絵を見て、思いつきました。

高橋:かの有名な絵ですね。

角野:本人は「誰の絵だと思っているの」と、不満そうに言いますけどね。その時の娘と同じ12歳くらいの女の子を主人公にしようと、それだけ決めて、考え始めたんです。

高橋:エピソードを考えるんじゃないんですね。

角野:「その子がどういう格好をして、どんなところにいるのかな」などと考えているうちに、登場人物から、吹き出しみたいなセリフが生まれてくるんです。

高橋:僕はこれまで、だいたいの作品はタイトル以外はキャラクターさえはっきりとは決めずに「書きたい気持ち」を優先してきました。ただこの何年か、ちょっと変わってきて、目の前にいる子どもたちを主人公に、この子たちに何をさせようか、と考えるようになった。くわしくは言えないのですが、この物語に出てくるのは、ほとんど自分に関係のある人に起こったエピソードなので、供養をするような気持ちで書いたんですよ。


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