党名や党首名を含むツイート数の推移(AERA 2017年10月23日号より)
党名や党首名を含むツイート数の推移(AERA 2017年10月23日号より)
この記事の写真をすべて見る

 公職選挙法が改正されて、インターネットを利用した選挙運動(ネット選挙)が可能になったのは2013年4月。以後、3回の国政選挙が行われた。SNSなどネットは実際の投票行動に影響を与えているのか。

 ツイッターのツイート数と各政党の獲得議席数の関連などを調査してきた東京大学大学院工学系研究科の鳥海不二夫准教授によると、「両者はかけ離れてはいません」。9月末以降の各政党にまつわるツイート数も、世論の傾向と重なる。

 解散直後は、民進党との事実上の合流や小池百合子代表の出馬の有無をめぐって希望の党が関心を集めたが、公約を発表した後は大きく失速。自民党は終始一定のツイート数を保ち、リベラルの受け皿を求める人たちの「#枝野立て」というハッシュタグが乱れ飛び結党前から注目されていた立憲民主党は、ゆるやかにツイート数を減らしている。

 だが注目すべきは数よりも質。各政党名を含むツイートの「リツイート数トップ10」を調べると、ある変化が見て取れた。

「ネット選挙が解禁された13年の参院選ではそれぞれの党を応援するポジティブな内容が多かったのに比べ、今回は明らかにネガティブで批判的なものになっています」(鳥海准教授)

 現時点では公示後のデータは検証できていないが、保守・リベラルともにネット言論が先鋭化している可能性がある。

 街頭でのヤジを警戒してか、演説日程を公表しないとしていた安倍晋三首相が10月6日、サプライズで駆けつけたのは、自民党ネットサポーターズクラブ(J-NSC)の集会だった。

「私たちはもっともっとみなさんの収入が増えるようにしていきたい。そのためにもどうか皆さんのネットの力で『真実は何か』ということをどんどん発信していただきたいと思います」

 安倍首相の言葉に、約250人の参加者からは大歓声と拍手が。生中継したニコニコ動画には「安倍さんしかいねーわ」などのコメントが飛び交った。

次のページ