──税金で集めて再分配するということですか?

 消費税というと、逆進性、つまり貧しい人も金持ちも税率が同じで不公平だという議論があります。それは徴収だけを見た指摘で集めたおカネをどう使うかという大事な点が見落とされている。税率は同じでも金持ちが払う税額は多い。低所得の人が使うおカネは多くない。

●国民に見放されて当然

──所得1億円の金持ちと100万円の低所得者だと、税率が10%ならば、税額は990万円の差が出る。行政サービスが同等なら、所得格差は縮まりますね。

 税は再分配と結びつき、生かされます。消費税自体が問題なのではなく、何に使うかが大事なのです。税率は2019年に2%上げて10%になります。増税分は1%が借金圧縮、もう1%は貧困対策にまわる。14年春の増税分3%と合わせた5%分でみると、うち4%は借金穴埋め、貧困対策の1%は一部の高齢者が対象。ほとんどの人が対象外で、痛税感だけは残る。

──それでも民進党は消費税増税を主張して選挙に臨む?

 消費税反対!と言えば選挙に勝てるでしょうか。今の民進党はそんな甘い状況にない。(前身の旧民主党は)無駄をなくせば16.8兆円が浮くといって政権に就いたが、事業仕分けでも1兆円程度しか成果を出せなかった。なのに公約になかった消費増税、しかも受益感のない増税に踏み切った。国民に見放されて当然です。反省と謝罪をきちんとしたうえで、増税を訴えてほしい。

●消費税には破壊力ある

──やはり使い道ですか?

 介護保険の自己負担は8千億円、保育園・幼稚園の自己負担も8千億円。合わせて1.6兆円ですが、消費税1%分で2.8兆円の増収がある。介護と保育の負担を消しても1.2兆円余る計算です。これほどのことができる。消費税3.5%分が確保できれば、保育・大学・医療・介護・障がい者の現時点での自己負担が消える。財政不安から借金を減らすなら、さらに3.5%分上乗せをすれば、毎年の財政赤字はほぼ消えます。つまり、今100円のジュースが107円になるとこれが可能なのです。消費税にはこれほど破壊力があるというのに、何の恩恵も感じられない5%増税をするから反発だけが強まるのです。

次のページ