──社会保障と税の一体改革の中身に関心が薄かった。

 税は貯蓄と裏表の関係です。貯蓄を政府に託し、暮らしの安心を得る。増税で負担は増えますが、保育、教育、医療、介護への出費は劇的に減る。自由に使えるおカネは増えるんです。生活が保障されれば、リスクへ挑戦できるし、サービスの拡充で雇用は広がるでしょう。

 欧州は消費税が中心で、国民負担率は日本より高い。それでも人々は受け入れている。暮らしの不安から解き放たれ、誰が不正受給しているなどとあら探しをする必要もない。大切なのは払った税が何に使われているか、徹底的に監視すること。民主主義の輪の中に人々が加わってゆくことです。

──民進党が増税なら、自民党は増税を主張しやすくなる?

「自己責任」と言ってきた自民党が支え合う社会を目指すでしょうか。増税分を何に使うか政策論争すればいい。私はアベノミクスに対抗する新たな選択肢を示しました。自民党が丸のみして社会民主主義路線に変わるというなら、見ものです。

(ジャーナリスト・山田厚史)

AERA 2017年9月25日号