「次の選挙で日本ファーストが多くの候補者を立ててくるのは間違いない。場合によっては日本ファーストと民進党の連携もありうる。いまの自民党が太刀打ちできるのか」

 だからこそ、現政権に批判的な識者の話を聞くことで国民目線に戻り、党の立て直しを図りたいと言う。

「民主主義の健全な姿は自民党に対峙する勢力があることだ。それがないから、自民党が傲慢になり、弊害も出てきた。現時点では自民党に代わる勢力があるとは思えないが、政権交代が起きれば混乱も生む。国民の信頼を取り戻し、自民党が必ず勝たなければならない」(平沢氏)

●党内に新たな受け皿

 日本の明日を創る会に名前を連ねる後藤田正純衆院議員(石破派)は、勉強会について「反安倍ではなく脱安倍」と位置付け、こう話した。

「政治には緊張感が必要だ。安倍政権への検証が必要だが、自民党執行部は意見を言わず、一部の大手新聞は礼賛ばかりで、野党は批判だけに終始する。国民の受け皿がないなら、たとえ執行部に嫌われてでも、自民党内につくる必要がある。例えばデフレ脱却は本当に消費者目線なのかなど、政策の中身もきちんと議論していかなければならない」

 民進党の新代表には前原誠司氏が選ばれた。今後、どのような野党共闘が進むかに注目が集まるが、目下、10月22日には三つの衆院補選が控えている。前出の角谷さんは言う。

「補選がある3小選挙区はいずれも自民現職が亡くなり、自民にとって『弔い選挙』。志半ばのものを引き継ぐわけで、支援者の力の入れ方も違う。この選挙でも自民が惨敗するようなら、安倍離れの動きが一層加速することは間違いありません」

 もっとも、9月末に召集される臨時国会では、いまだ「丁寧な説明」(安倍首相)がない加計学園の獣医学部新設問題などで野党の追及があるだろう。その対応次第では、試金石となる補選を前に政権の求心力が失われる可能性もある。(編集部・澤田晃宏)

AERA 2017年9月11日