



VRを使った施設が続々オープンゴーグルをつけてバーチャル世界に入り込み、ゲームなどを体験できる施設が増えている。キャラクターや他人になりきる「変身体験」を家族や友人と一緒に楽しむ、新しいエンターテインメントだ。
カートに座ってハンドルを握る。VRゴーグルをかぶると、目の前にレースサーキットが広がった。
バーチャルリアリティー(VR)を体験できる東京・新宿のエンターテインメント施設「VR ZONE SHINJUKU」の、ここは「マリオカート アーケードグランプリVR」ゾーン。マリオやピーチ姫が周囲を走る中、自分自身もマリオのキャラクター「ルイージ」になって猛スピードで走る。
実際は、カートは固定されているので動くはずはないのだが、VRゴーグル越しだと周囲の景色がビュンビュン流れていって、まさにサーキットを猛スピードで走っているような臨場感だ。
アクセルを踏み込むと、カートのスピードがぐんぐん上がる(ような気がする)。思わず「怖い! 速い!」と叫び声を上げたが、周囲のカートにガンガンぶつかりながら疾走するのは、なんだか気持ちいい。
●気分上がってキャーッ
ヘッドホン越しに、隣を走るマリオの叫び声も聞こえてきた。マイクを通じて他のプレーヤーと話しながらプレイすることもできるという。
ふと、空中にバナナの皮が浮かんでいるのが見えた。グローブをはめた右手でつかみ、後ろを走るカートに投げつけると滑って転倒。数分間のレースだが、走り終えると実際に猛スピードで運転したあとのような疲労感でクタクタになった。
バンダイナムコが運営するこの施設は、2017年7月にオープン。国内最大級のVRエンタメ施設で、マリオのほか、ドラゴンボール、エヴァンゲリオンといった、子どもの頃にハマったアニメやゲームの世界に入って遊ぶことができる。同社の小山順一朗さんは言う。
「子どもの頃から夢見ていた世界に入り込むことができる。しかも、マリオに会えるんですよ。気分が上がってキャーッとなりますよね」
いま、こんなふうにVRゴーグルを使ってゲームやアトラクションを楽しむ専用のエンタメ施設が増えている。
従来のゲームセンターや遊園地に比べ、プレーヤー自身がゲームの中のキャラクターや他の人間になりきったり、世界に入り込んだりする「変身体験」ができるのが特徴だ。いずれも「13歳以上」という年齢制限があるが、VRゴーグルに加えてスタッフの演出や設備の工夫もあり、現実と勘違いしてしまうほどリアリティーがある。
16年12月に東京・渋谷にオープンした「VR PARK TOKYO」もそんな施設の一つ。
同じ建物にあるゲームセンターに来場するのは8割が男性だが、VR PARK TOKYOは男女半々。カップルや友人同士での来場が多いという。
外国人にも人気のアトラクションが「サークル・オブ・セイバーズ」だ。VRゴーグルをかぶり、センサーを付けた両手を振ってゲームの中の敵と戦う。
プレイして楽しいだけではなく、観客として見ているだけで楽しい。プレーヤーがゲーム画面に入り込んでプレイするリアルタイム合成映像を、観覧者も見られるディスプレーに表示したり、プレーヤーが実際にコスプレしてゲームをしたりする。もちろん、写真を撮ってSNSに投稿する人も多い。