ファスト風土化しない街 埼玉・飯能を 三浦展さんと歩いてみた (1/4) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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ファスト風土化しない街 埼玉・飯能を 三浦展さんと歩いてみた

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澤田晃宏AERA
かつて遊郭があったというエリア。一軒のスナックに入る(撮影/編集部・澤田晃宏)

かつて遊郭があったというエリア。一軒のスナックに入る(撮影/編集部・澤田晃宏)

三浦さんお気に入りの看板を挟んで、店の橋本さんと(撮影/編集部・澤田晃宏)

三浦さんお気に入りの看板を挟んで、店の橋本さんと(撮影/編集部・澤田晃宏)

これがかつての遊郭か。道に対しドアが45度に(撮影/編集部・澤田晃宏)

これがかつての遊郭か。道に対しドアが45度に(撮影/編集部・澤田晃宏)

飯能織物協同組合事務所。旧街道沿いには蔵が点在(撮影/編集部・澤田晃宏)

飯能織物協同組合事務所。旧街道沿いには蔵が点在(撮影/編集部・澤田晃宏)

「古久や」では一番人気の肉つゆうどん(710円)を(撮影/編集部・澤田晃宏)

「古久や」では一番人気の肉つゆうどん(710円)を(撮影/編集部・澤田晃宏)

 トランプ米大統領の登場で先が読めなくなってきた国際情勢。だからこそ、見えにくい事実をあぶり出す新しい地図に注目したい。VR(バーチャルリアリティー)やスマホアプリで地図の世界もどんどん進化している。ブラタモリなど街歩きブームの極意もルポする。AERA 2月20日号では「地図であぶり出す未来」を大特集。

 街歩きが人気だ。書籍版『ブラタモリ』はシリーズ累計55万部の大ヒット。見ているばかりではなく、自分でも歩いてみたい。散歩の達人である消費社会研究家の三浦展(あつし)さんに極意を学んだ。

*  *  *
 まず散歩で注目するのは、人の手で書かれた看板だという。

「街のなかに同じ文字を見つけると『同じ看板屋が書いたのかなあ』なんて、人の姿が見える」

 評論家で消費社会研究家の三浦展さん(58)は、そう語る。家族や都市問題に関心を持ち、『下流社会』や『ファスト風土化する日本』などの本を世に出してきた。日頃から東京23区を始め、東京郊外も散歩している。その足跡を昨年、著書『東京田園モダン』にまとめ、自らの散歩を「社会散歩」と名づけた。三浦さんが好んで足を運ぶのは、東京23区の外縁部で、昭和初期以前は農村、漁村だった地域。そして戦後の高度成長以降、住宅地となった地域だ。街が発展する過程で住宅不足や公害、貧困や差別などの問題にどんな対策が行われてきたのか。こうした点に関心を持って歩くのが文学散歩、建築散歩とはひと味違う社会散歩だと三浦さんは言う。

「かつての宿場町などまだ古い建物が残り、人間の営みが見える街が面白い。新興住宅地は歴史が浅く、同じような建物が並び、個性がない」

●斜めの細い道はアタリ

 2月1日、三浦さんの社会散歩に同行した。西武池袋線の池袋駅から急行で約50分。目指すは埼玉県飯能市。西武池袋線の終着駅というイメージしかない。

 散歩を前に下調べ。古くから林業で栄えた飯能から池袋まで武蔵野鉄道(現在の西武池袋線)が開通したのは大正4(1915)年。当初は蒸気機関車が客車を引き、池袋までの所要時間は約2時間。運賃は特等が81銭、並等が53銭。当時の山手線の初乗りが5銭で現在140円であることを考えると、並等で池袋まで約1500円だ。現在は470円だから、約3倍だ。

 鉄道が開通するまでは、入間川上流の山々から切り出した木材を筏(いかだ)に載せ、物流拠点の東京・千住大橋まで運んでいたという。順調に行っても5日かかったというから、それは大変な旅路だ。鉄道開通により筏流しはなくなったというが、

「昭和初期には駅前に材木商が店を出し、材木の産地市場としての地位を確立した」(『名栗の歴史』下)


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