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究極のばらまき「ヘリコプターマネー」期待相場の末路

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AERA#安倍政権

高橋是清はヘリコプターマネー政策によってデフレ脱却に成功したが、終着点は敗戦直後のハイパーインフレだった。アベノミクスの結末は…… (c)朝日新聞社

高橋是清はヘリコプターマネー政策によってデフレ脱却に成功したが、終着点は敗戦直後のハイパーインフレだった。アベノミクスの結末は…… (c)朝日新聞社

 空からお金をばらまけば景気は良くなる。そんな「ヘリコプターマネー」の導入観測をネタに、市場は盛り上がる。アベノミクスは末期症状だ。

「今度の経済対策は、景気の回復軌道を一層確かなものとするものでなければなりません。事業規模で28兆円を上回る総合的かつ大胆な経済対策を取りまとめたいと考えています」

 安倍晋三首相は7月27日、福岡市での講演で、秋の臨時国会に出す政府の今年度補正予算案や、来年度予算案で、公共事業などの支出を増やして景気をてこ入れすると表明した。補正予算案は数兆円規模とみられる。

 その2日後。日本銀行もほぼ半年ぶりとなる追加の金融緩和を決めた。株式投資への呼び水とするため買い入れてきたETF(上場投資信託)の購入額を年6兆円に倍増させるのが柱。内容は「小粒」(市場関係者)だったが、日銀は発表文で政府の経済対策に触れ、「きわめて緩和的な金融環境を整えていくことは、こうした政府の取り組みと相乗的な効果を発揮するものと考えている」と明記。政府・日銀の連携ぶりを強調した。

●政権に時間稼ぎの機会

 日銀が民間金融機関から国債(国の借金証文)を大量に買うなどして市場にお金を流す「異次元の金融緩和」(第1の矢)、財政出動による政府予算の大盤振る舞い(第2の矢)、企業がビジネスをしやすい環境を整える規制緩和などの成長戦略(第3の矢)。「3本の矢」を掲げてデフレ脱却を目指すアベノミクスが始まって3年余り。いまだに日本経済は停滞から抜け出せていない。

 金融緩和と財政出動はあくまでも一時的な景気の落ち込みに対処する「カンフル剤」であり、深刻な少子高齢化などによって日本経済の「基礎体力」が弱っている今の局面では効き目がきわめて限られる。

 基礎体力を地道に鍛えるための成長戦略は、既得権を失いかねない層の反対が強く、なかなか進まない。安倍首相が参院選でも繰り返した「アベノミクスは道半ば」という強弁もさすがに通用しづらくなってきた。政権への支持をつなぎとめるためには、効能が怪しい金融緩和と財政出動の積み増しによって「デフレ脱却への努力」をアピールするしかないのが実情だ。


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