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日本の株「気持ち悪い買われ方」裏にある「高下駄」

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日経平均株価は2月19日、約15年ぶりとなる高値を記録した。アベノミクスによる強烈な追い風を受ける今、日本企業の真の実力は見えにくい (c)朝日新聞社 

日経平均株価は2月19日、約15年ぶりとなる高値を記録した。アベノミクスによる強烈な追い風を受ける今、日本企業の真の実力は見えにくい (c)朝日新聞社 

 史上空前の利益を上げ、株価も15年ぶりの高値。日本企業は強くなったのか?いやいや、目をこらすとアベノミクスの高下駄と業界内格差が見えてくる。

「2月に入ったころからでしょうか。大手銀行をはじめとする『オールドエコノミー』的な大型株が、気持ち悪い買われ方をしているな、と」

 公認会計士で、1億数千万円の資金を運用する個人投資家、六角蓮爾さん(ハンドルネーム、32歳)は、最近の株高を少々、不審に思っている。

 日経平均株価は2月19日、ITバブルにわいた2000年5月以来の高値を記録。その後も高水準を維持する。

「最近公表された10~12月期決算の内容も含め、これまでとほとんど状況が変わっていない銘柄も幅広く値上がりしています。いま買われるのなら、なぜもっと早く買われなかったのか? 一斉に株価の水準が切り上がる理由が見あたりません」

 今の株高は、日本企業の実力を反映しているのだろうか。ニッセイ基礎研究所の井出真吾主任研究員が、1株当たり純利益や株価収益率といった指標の変化をもとに分析したところ、2012年11月14日~今年2月19日の日経平均株価の値上がり幅9600円のうち、「企業業績の改善」の分は6847円。一方、「市場心理の改善」の分、つまり「雰囲気」による値上がり分は2753円だった。

「市場心理の改善」の要因としては、日本銀行が異次元緩和の一環として株価指数に連動する上場投資信託(ETF)を大量に買い入れているため、株価下落のリスクが下がっていることが大きい。「企業業績の改善」にしても、これまでのところ、異次元緩和による円安の進み具合と主要企業の増益率が、ほぼ一致しているという。

「極端に言えば、これまでの株高はほぼすべて『日銀効果』によるものです」(井出さん)
 
 08年のリーマン・ショックを機に暴落した株価は、民主党政権時代を通じて低迷。大胆な金融緩和を主張する安倍晋三氏が野党だった自民党の総裁に就き、当時の野田佳彦首相が12年11月14日に衆院解散を表明して政権交代の観測が強まると、市場は株高・円安の方向に動き始める。

 翌月の総選挙に勝って首相となった安倍氏は、「緩和派」の黒田東彦(はるひこ)氏を日銀総裁に据え、日銀は13年4月に「異次元緩和」に踏み切った。結果として、円安が急速に進んだのは周知のとおりだ。円安は、企業が海外で稼いだ収益の円換算額を大きく膨らませる。SMBC日興証券によると、東証1部上場企業の今年度の純利益見通しを業種別に見ると、海外売り上げの比重が高い製造業は前年度より7.9%増える見込みだが、国内市場に頼りがちな小売業といった非製造業は3.7%にとどまる。このデータからも、業績に与える円安効果の大きさが読み取れる。

 リーマン・ショックや超円高、大震災といった試練に直面した日本企業は、生き残りをかけて収益力を高める努力を重ねてきた。ただ、企業の体質が劇的に改善されたわけではなく、「アベノミクス効果」という高下駄を履いている──そんなところで専門家の見方はほぼ一致する。

AERA 2015年3月9日号より抜粋


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