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菅直人の脱原発ハウス 東京電力から電気は買いたくない

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パナソニックの研究施設を視察したこともあり、選んだのはパナホーム。昨年末の総選挙では選挙区で敗北し、比例区で復活した(撮影/鶴崎燃)

パナソニックの研究施設を視察したこともあり、選んだのはパナホーム。昨年末の総選挙では選挙区で敗北し、比例区で復活した(撮影/鶴崎燃)

屋根には太陽パネル。数年前、省エネ問題に詳しい小宮山宏・元東京大学総長の省エネ住宅を訪れて驚き、意識が変わったという(撮影/鶴崎燃)

屋根には太陽パネル。数年前、省エネ問題に詳しい小宮山宏・元東京大学総長の省エネ住宅を訪れて驚き、意識が変わったという(撮影/鶴崎燃)

 借家暮らしだった元首相が最先端の省エネ住宅を建てた。
 ソーラー発電ができる太陽光パネルなどを備える。
 原発問題に取り組む政治家としての「思い」や「仕掛け」が詰まっている。
 
 菅直人元首相(66)は2月、東京都三鷹市下連雀の省エネ住宅に引っ越した。実母が住んでいたが、築後半世紀近くがたち老朽化していたため、取り壊して新築した。
 屋根の太陽光パネル(5・76キロワット)で発電する。都市ガスを使う燃料電池「エネファーム」も備える。
 「エネファームは原発よりエネルギー効率が高いんだ」
 と菅さん。地中の熱や雨水も利用する。温水床暖房もある。実母と菅夫妻の3人暮らしで、自宅のエネルギー自給率は107%になる予定だ。
 
◆照明は全部LEDに
 自宅は2階建て約160平方メートルで、建設費は3千数百万円。加えて、太陽光パネルに約300万円、エネファームなどに約200万円かかったが、省エネ住宅の補助金を使えた。
 「パネルを見てください。今、3キロワットを太陽光で発電し、そのまま全量を売電しています」
 菅さんがテレビの液晶画面を切り替え、キャスターのように解説した。電気やガス、水の使用量や電力収支、過去のデータが一目でわかる。ペンギンが画面でニコッと笑い、「売電中だよ!!」と知らせる。電気を使い過ぎると警報音が鳴る。2階のエアコンの消し忘れに気がつき、慌てて階段を上がることも。
 「これなら『省エネを頑張ろう』という気になる。リビングのテレビが73ワットなどとわかるので、省エネを意識しやすい。エアコンやオーブンレンジがものすごく電力を消費することもわかった。とにかく目に見えるかたちで節電を実感できる」
 楽しい仕掛けによって、省エネを進める仕組みだそうだ。
 取材日の3月9日。快晴で発電量が多く、暖かくなったため日中は電気の使用量も少なくなった。夕刻までに買った電力は41円相当、売った電力は1207円相当。使ったガスは390円だった。前日との比較や月単位の積算額などもすぐわかる。
 窓は断熱の二重ガラス。照明は全部LED。地中の熱も逃さずに生かすという空調システムも備える。東京工業大学卒で理系の元首相は、力説する。
 「床下を空気のプールみたいにしています。地中は温度が一定だから、外気より暖かい空気で家を暖めることができる。断熱の省エネ効果は大きい」
 脱原発のための新しい暮らし方を説いてきた菅さんは、いまこう思う。
 「省エネは我慢することじゃなくて、技術の進歩や楽しみがあると思うこと。だから前に進める。社会全体が使うエネルギー総量を減らし、従来通りの経済活動をやれる社会にできる」

◆「原発はいらない」
 首相時代に、家庭から電力を買い取るシステムを整備した「責任感」も感じていた。原発停止で電力不足が懸念される中、自分の省エネ住宅を軌道に乗せることで、より自信を持って制度を広げたいと語る。
 「家庭から電力会社に売る量が増えれば、原発はなくてすむ」
 さらには、自然エネルギーの普及による脱原発で雇用も増え、技術も進み、経済も好転するという。
 だが昨年末の総選挙では、地元で原発ゼロを徹底して訴えたものの苦杯をなめた。
 「再び、原点の市民運動に戻って、すっきりした感じがします。首相として原発事故に直面した責任もある。エネルギー問題はライフワークになりました」

AERA 4月1日号


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