サヘル・ローズさん。「日本は第2の故郷。経験を生かして、イランと日本のさらなる交流の懸け橋になりたい」とサヘルさん。日本人は自己主張が欠けていると感じている。「もっと個性を持ってほしい」(撮影/篠塚ようこ)
サヘル・ローズさん。「日本は第2の故郷。経験を生かして、イランと日本のさらなる交流の懸け橋になりたい」とサヘルさん。日本人は自己主張が欠けていると感じている。「もっと個性を持ってほしい」(撮影/篠塚ようこ)

 わが国で暮らす外国人は現在、200万人を超す。異国からやってきて、島国の風土や人情にふれることで見える姿がある。

 イラン人でタレントとして日本で活躍するサヘル・ローズさんは、日本での経験などを次のように話す。

*  *  *

 母と、知り合いを頼って8歳で埼玉県に来て、地元の小学校に入学しました。日本語をしゃべれない私に、校長先生は、校長室でマンツーマンで日本語を教えてくれました。金銭的な事情などから、一時ホームレスになってしまったときも、給食のおばちゃんが「困ってるんでしょ」と言って、アパートの保証人になってくれ、夕飯の差し入れまでしてくれた。いくら感謝してもしきれません。

 何の見返りもないのに、人助けをするのは日本独自のメンタリティーでしょう。

 でも中学時代はいじめにあってつらかった。「イラン人はいらん」と言われたことも多々あります。大勢で徒党を組んで特定の人をいじめる点で、日本のいじめは他の国と違います。

 でも、そうした特質は協働して何かをやり遂げる「ものづくり」や「研究」の分野ではプラスに働いている気もしますね。

 私がここまで来られたのは日本のおかげ。その私でさえ、日本に感じるのは「自信がない」ということです。困った人に無償で手を差し伸べたり、あらゆる所に交番があって治安がよかったり。誇るべきものは、本当にたくさんあるはずなんですけどね。

AERA 2012年12月31日号