羊“肉”をめぐる冒険 人気の秘密とは?

骨付き背ロースの塊肉を焼いたラムラック フル4600円(税抜き。以下同)。「脂の少ない赤身肉のおいしさを引き出すため、優しく火を入れることがポイントです」(石崎知史店長)/ワカヌイ ラムチョップ バー 十番 (撮影/写真部・小原雄輝)
【写真特集】多種多様な料理と家庭で出来る簡単ラム肉レシピを写真で紹介!
十二支にも登場する羊だが、日本人にとっては長い間、名のみ高い幻の動物だった。6世紀に百済から推古天皇への貢ぎ物として使われたなど、大陸から送られてきた記録が残っているものの、高温多湿の日本では育成が困難で定着せず、ウール生産のため本格的に飼育され始めたのは明治時代になってから。ジンギスカンとして一般に食べられるようになったのは、昭和30年代だ。
そんな羊肉に大きな変化が起きている。
「2012年に530トンだった家庭用ラムの年間販売量が、18年には2493トンと約5倍になりました。これまであまり馴染みのなかった中国、四国、九州でも人気が高まってきています」
と、“羊王国”ニュージーランドの食肉会社の日本法人、アンズコフーズ社。
羊肉は、脂肪燃焼作用のあるL-カルニチンを多く含む。100g中の分量は豚肉35mg、牛ヒレ肉が59.8mgなのに対し、ラム(1歳未満の仔羊)は80mg、マトン(1歳以上)は208.9mgというデータがある。
「ヘルシーな食材だと認知されてきました」と、大手スーパーのサミットでも販売量が上昇中。だが、「羊肉料理はジンギスカンしか知らないというお客様が多いです。食べた方からは好評ですが、まだ『臭そう』というイメージを理由に敬遠されるお客様もいます」
ジンギスカンで使用する肉は、匂いが強めのマトン。一方のラムは匂いが弱めで料理のバリエーションも豊富。サミットでは火鍋への利用を勧めている。これは中国東北部での伝統的な食べ方。アンズコフーズでも以下で紹介したような様々なレシピを提唱する。幻の動物が身近な食材になってきた。

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