監督 レオス・カラックス/4月1日からユーロスペースほか全国公開/140分 (c)2020 CG Cinema International / Theo Films / Tribus P Films International / ARTE France Cinema / UGC Images / DETAiLFILM / EUROSPACE / Scope Pictures / Wrong men / Rtbf (Televisions belge) / Piano
監督 レオス・カラックス/4月1日からユーロスペースほか全国公開/140分 (c)2020 CG Cinema International / Theo Films / Tribus P Films International / ARTE France Cinema / UGC Images / DETAiLFILM / EUROSPACE / Scope Pictures / Wrong men / Rtbf (Televisions belge) / Piano

「ボーイ・ミーツ・ガール」で長編デビューして以来、「汚れた血」「ポンヌフの恋人」など、常に話題作を発表してきたレオス・カラックスの新作「アネット」。原案と音楽を、音楽の革新的なパイオニア、スパークスが担当しているのも話題

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 ロサンゼルス。攻撃的なユーモアセンスをもったスタンダップコメディアンのヘンリー(アダム・ドライバー)と、悲劇的な死のオペラを歌い国際的に有名なソプラノ歌手のアン(マリオン・コティヤール)。ある日、“美女と野人”とはやされるほどにかけ離れた二人が恋に落ちる。やがてこのセレブ・カップルは、メディアや群衆の称賛の的として世間から注目されるようになる。

 だが、理想的なメロドラマと見えたその関係は、二人の間にミステリアスで非凡な才能をもったアネット(デヴィン・マクドウェル)が生まれたことで少しずつ狂い始める。ヘンリーは深い闇に吸い込まれ、悪魔的な運命に翻弄されていくのだが……。

監督 レオス・カラックス/4月1日からユーロスペースほか全国公開/140分 (c)2020 CG Cinema International / Theo Films / Tribus P Films International / ARTE France Cinema / UGC Images / DETAiLFILM / EUROSPACE / Scope Pictures / Wrong men / Rtbf (Televisions belge) / Piano
監督 レオス・カラックス/4月1日からユーロスペースほか全国公開/140分 (c)2020 CG Cinema International / Theo Films / Tribus P Films International / ARTE France Cinema / UGC Images / DETAiLFILM / EUROSPACE / Scope Pictures / Wrong men / Rtbf (Televisions belge) / Piano

本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)

■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★
夫が妻を荒海に強引に連れだした船の上で起きる悲劇が、すべてを語るようなダーク・ファンタジー。美女と野人と言われた夫婦の娘アネットにみる孤独と自由。冒頭で監督が言う「息さえ止めて」見た結果は刺激的だが混乱だ。

■大場正明(映画評論家)
評価:★★★★
カラックスが愛着を持つボーイ・ミーツ・ガールの設定とミュージカルの大胆な融合。舞台上のオペラやスタンダップコメディーと現実の境界が崩れ、愛と破壊、生と死、人間と人形が入り組む夢のような世界に引き込まれる。

■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★
これを芸術として見るか、変わった世界観で行われるミュージカルなのか、まったく理解できないのか。大きく三つに分かれるでしょう。愛を交わしながら歌うのは初めて見た。しかしアネットは瞬間的にチャッキーに見えた。

■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★
ひねくれたバンドのスパークスの音楽を、ひねくれた監督が奇想シーンばかりのミュージカルにしているので、かなり奇妙な映画に仕上がっている。ラストシーンとエンドクレジットの印象深さにこの監督の自由さを再認識。

(構成/長沢明[+code])

週刊朝日  2022年4月8日号