林:そして体のほうもすごくつらいトレーニングをなさって。

郷:月、水、金の週3回やってますけど、そんなにつらくはないですよ。30歳のころから35年ぐらいずっと続けてきていますから。

林:私みたいに、自分を思い切り甘やかしている人間から見たら、30年以上も続けるなんて、信じられないことですよ。

郷:いや、僕は体を動かすことが性に合っているだけのことです。身体的につらいことを我慢するってことは、心も鍛えられてるんだな、と思えるようになった。一石二鳥ですね。

林:そんなことできないですよ。

郷:林さんは目標設定がたぶん高すぎるんですよ。

林:目標設定も何も、寝たきりにならないように頑張ろうと思ってる程度だから、ジムに行っても「まあ、このへんでいいかな」って。

郷:「このへん」でいいんですよ。大事なのはず~っと続けていくことなんです。最初のうちは、目標設定が高くてもやる気があるから何とかなるんです。でも、熱意が薄らいできたときに、高い目標を掲げているとキツくなるんですよ。最初から「こんなの軽い軽い。大丈夫」ってレベルでやっていけば、少しぐらい熱意が冷めても続けられるんです。

林:なるほどね。それにしても、50年間ずっとスターでい続けるって大変なことですよね。「オギャー」って生まれた赤ちゃんが50歳になるあいだ、ずっと第一線のスターだったって、われながらすごいことだと思いません?

郷:それがすごいとは、自分自身はあまり考えないんですよね。言われれば「そうか、50年たったんだ」と思うんですけど、スターって見る人が決めることだと思っているんです。僕は「郷ひろみ」を必死に続けているだけなんですよ。あとは見る人が好きなように形容してもらえばいいかなって、その程度なんです。

林:私、ずっと前にテレビを見てたら、郷さんが幻冬舎の見城(徹)さんと飲んでいるシーンがあったんです。そのとき見城さんが「アイドルっていうのは民衆のいけにえなんだ。だからおまえはつらいことでもずっと続けなければいけないんだ」って説教してるシーンが延々と映ってましたよ。

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