尾野真千子、嫌いだった「頑張る」が生きるための合言葉になった理由 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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尾野真千子、嫌いだった「頑張る」が生きるための合言葉になった理由

週刊朝日
映画「茜色に焼かれる」は5月21日からTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開(c)2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ

映画「茜色に焼かれる」は5月21日からTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開(c)2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ

尾野真千子 [撮影/写真部・小黒冴夏、ヘアメイク/黒田啓蔵(Iris)、スタイリスト/江森明日佳(BRUCKE)、衣装協力/ottod’Ame/STOCKMAN(オットダム/ストックマン)、BRUCKE(ブリュッケ)]

尾野真千子 [撮影/写真部・小黒冴夏、ヘアメイク/黒田啓蔵(Iris)、スタイリスト/江森明日佳(BRUCKE)、衣装協力/ottod’Ame/STOCKMAN(オットダム/ストックマン)、BRUCKE(ブリュッケ)]

 コロナ禍で、家族のために必死で生きる母の姿を描いた映画「茜色に焼かれる」。1年前、「現場で死にたくない」と思い、休業まで考えた女優・尾野真千子さんを再生させたのは、この映画の企画書だった。

前編/女優・尾野真千子「現場で死にたくはない」 彼女を再生させた企画書】より続く

【美しい尾野真千子さんの写真はこちら】

*  *  *
 尾野さんが演じるのは、花屋と夜の店のアルバイトで息子を育て、義父の老人ホーム入居費などを稼ぐシングルマザー・田中良子。役との共通点は、口癖である。苦境に陥った良子が必ず口にする「まぁ頑張りましょう」というセリフは、尾野さん自身も、ある時期から呪文のように唱えてきたらしい。

「昔は、『頑張る』という言葉を口にするのが嫌だったんです。人から『頑張れ』って言われたときも、『言われなくても頑張ってる!』みたいに反発しちゃってた(笑)。でも結局、頑張んないと生きていけなかった。頑張らないと何も動かない。何も始まらなかった。人間には、なんかこう……自分を奮い立たせる言葉って必要なんですよ。『頑張れ』と言われるうちが花だって気付いてからは、『まぁ頑張りましょう』が合言葉のようになって」

 最近は、母親役も増えてきた。ただ、尾野さん自身は、「自分にあまり母性があると思ったことはないです」と話す。

「子供を持ったことがないから、母親役を演じて自分の中から湧き上がる感情のどれが母性なのかはわからないです。だから現場で、子供にはあんまり優しくないと思う(笑)。芝居では、自分が今まで受けた愛情を、そのまま真似してやっている感じがあります。嘘はつきたくないと思って芝居をやっていて、子供に対する気持ちは嘘ではないし、そこで起こっている感情は本物だけれども、母性かと聞かれると、わからないです」

 確かな演技力と豊富なキャリアを持ち、多くの監督、プロデューサーが出演を切望する存在でありながら、「わからない」を連発する。そんな正直さもまた、彼女の人間としての魅力の一つだ。わからないから想像し、わからないから観察する。良子を演じながら、一番脳裏に何度も浮かんできたのは、奈良に住む姉のことだった。


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