小池都知事と菅首相(C)朝日新聞社
小池都知事と菅首相(C)朝日新聞社

 女性蔑視発言で東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)がとうとう辞任することになった。

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「森氏が勝手に撒いた火種で、一番、得をしたのが東京都の小池百合子知事ですよ。一番、損をしたのが、菅義偉首相ですね」

 官邸関係者はこう暗い表情で話す。東京都は東京オリンピック・パラリンピックの開催都市だ。大会組織委員会も、東京都と日本オリンピック委員会(JOC)が共同設立した公益財団法人だが、そのトップだった森氏が「女性がたくさんいる理事会は時間がかかる」と女性蔑視発言。世界中で炎上し、赤っ恥をかいた。東京都としても、森氏を会長にしたた責任が問われてもおかしくない立場である。

 だが、小池氏は森氏の失言に「絶句した」と批判するも、「(会長には)誰がいいのか、組織委員会が判断すべき」と距離を置いた。

「得をする時はしゃしゃり出る、損をする時は逃げるという小池氏らしいコメントでしたね。コロナでも『国が判断されること』とよく言っています。あれと同じですよ」(自民党幹部)

 1月31日に投開票があった東京都の千代田区長選では小池氏が“オーナー”の都民ファースト推薦の樋口高顕氏が快勝した。

「選挙戦終盤、樋口氏が優勢とあってか、小池氏はサプライズで街頭演説にやってきた。コロナで密はダメ、三密という言葉を周知させた小池氏ですが、街頭演説はもちろん密になりました。小池氏自身も『密にならないで』とマイク片手に注意していた。それなら、街頭に立たなければいいだけ。政治的優位に立てそうな時は手段を択ばない小池氏の姿勢の現れだったと思います」(自民党の東京都議)

 対照的に森氏の問題でも評判をさらに落としたのは、菅義偉首相だ。
国会答弁で「内容の詳細は承知していない」と逃げて批判を浴びた。

「森氏の失言への批判が収まらないので、『次の会長は女性を起用しては』『安倍前首相どうか』などと官邸から聞かれるようになったが、菅首相自身は森氏に直接、何も言えない。煮え切らない間に森氏主導で後継に川淵氏を選んでしまった」(前出の官邸関係者)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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菅首相が週末になると不機嫌になる理由