セ・リーグ優勝を決めて選手たちに胴上げされる巨人の原辰徳監督=昨年9月21日(C)朝日新聞社
セ・リーグ優勝を決めて選手たちに胴上げされる巨人の原辰徳監督=昨年9月21日(C)朝日新聞社

 首位独走で早ければ来週にもセ・リーグ2連覇が決まる巨人だが、今年は歓喜の宴を控えることになりそうだ。スポーツ新聞で巨人担当の番記者は複雑な表情を浮かべる。

「新型コロナウイルスの感染防止で密は避けなければいけないですからね……。ビールかけは厳しいと思います。胴上げも選手やスタッフ、裏方さんが密集するので取りやめる可能性があります。リーグ優勝を決めた夜は大勢で街に繰り出して朝まで酒を飲むことが珍しくないのですが、今年は自粛するでしょう。遠征先で優勝を決めても、ホテルの部屋でチビチビ飲むことになりそうですね」

 新型コロナの影響で生活様式が変わると共に、祝い事での所作も変化を迫られている。今年の中学、高校、大学などの合格発表では、各学校が胴上げを自粛。構内で掲示板を用いず、インターネット上だけで行う学校が相次いだ。大手紙の記者は、こう話す。

「スポーツ界に向けられている世間の目を考えると、行動には神経を使いますよね。阪神の一件がありますから」

 先日に阪神の福留孝介ら10選手とチームスタッフ1人が遠征先の名古屋市内で会食をしていたことが判明。球団の定めた上限人数の2倍にあたり、同一ポジションの選手は行動をともにしないという日本野球機構のガイドラインに反したため、制裁金を科された。その後、矢野燿大監督も今夏に遠征先の広島市内で選手ら5人以上と会食していたことが発覚。阪神は事前に許可をしていたので球団のルール違反には当たらないと説明したが、

「同じ行動をしているのに福留や他の選手たちには制裁金を課して、矢野監督が不問? 理解できない」

「チームを統率する立場の監督がこのコロナ禍の中、大人数で会食をする神経が分からない」

 などの批判の声が殺到した。

 ある球団では試合後の外出禁止が解かれる予定だったが、阪神の一件を受けて今後も外食禁止になったという。優勝した日ぐらい喜びを爆発させたいのではと思うが、「意外とそうでもない」という声も。テレビ関係者は苦笑いする。

「今の若い選手たちは外で派手に飲みに行くことが好きではない。遠征先でも、ご飯を食べたら部屋にこもってゲームをしている。優勝した時に外出できなくてもストレスをそんなに感じないと思います。『朝まで酒を飲むほうがストレスです』と漏らす選手もいますから」

 今年の巨人は静かに歓喜をかみしめるリーグ優勝になりそうだ。(梅宮昌宗)

※週刊朝日オンライン限定記事