ほかにも住居に関しては、「災害救助法に基づく住宅の応急修理制度」や「災害復興住宅融資」などの支援制度がある。ただし、こうした公的支援を受けるためには「罹災証明書」の提出が必要だ。これは「住居の被害の程度」を証明するもので、証明書をもらうためには役所に申請して、専門調査員による被害認定調査を受ける必要がある。また、このときの調査によって、被害の程度が「全壊」「大規模半壊」「半壊」「準半壊」「一部損壊」のどの区分になるかで、受けられる支援や支援の手厚さが変わってくる。

「大規模災害が発生した場合は、人手が足りなかったり、交通手段が断たれたりして、申請から調査完了まで数週間~1カ月以上かかることもあります。そのため災害によって受けた被害の程度を正しく伝えるために、被災した直後は“片付ける前にまず写真を撮ること”がとても大切です」(同)

 写真は、家の内と外を両方撮るほか、損壊した箇所や浸水した深さなど、被害の程度が正確にわかるように撮る必要がある。

「撮り方については、内閣府が作成した『住まいが被害を受けたとき最初にすること』というチラシに詳しく書いてあります。インターネットで検索すれば、誰でも無料で閲覧できるので、ぜひ確認をお勧めします」(同)

 住居の再建以外にも、災害で家族を亡くした場合は「災害弔慰金」、会社が倒産・休業して給与が受け取れない場合は「雇用保険の失業等給付」など、利用できる支援制度は生活全般に及ぶ。しかし災害からの復興は10年単位の長期戦であり、「公的支援だけでは全く十分とは言えない」と清水さんは言う。

「公的支援で現金が給付されるのは一部のみで、ほとんどは使途が限定された現物給付か、融資が基本。生活再建の費用は、貯蓄や民間会社の保険金に頼らざるを得ないのが実情です」

 被災後、直近の生活資金として頼りになるのは、やはり貯蓄だろう。だが大規模災害時は、家屋の倒壊や浸水によって通帳や印鑑、キャッシュカードを紛失する場合も多い。

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