元衆院議員・亀井静香 (c)朝日新聞社
元衆院議員・亀井静香 (c)朝日新聞社

 歴代最長の政権は、誰も予想しなかったほど突然に終わりを告げた。元衆院議員・亀井静香氏は安倍晋三首相の不完全燃焼を嘆く。

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 安倍首相は一生懸命よくやった。でも、長ければそれでよいというものではない。もっとやってもらいたいこともあった。

 その一つが憲法改正だ。僕も同じ考えだが、彼は自主憲法制定という立場。その立場での問題提起をしなかった。今の時代、誰も自衛隊が憲法違反とは思っていない。憲法9条の改正よりも自主憲法制定なんだ。政治家に問われるのは、考えて、それに取り組むかどうか、実行するかどうか。そのことを彼はわかっていたはず。

 尖閣諸島についても、もっと前に出るべきだった。中国の公船が周辺をうろうろしていても、海上保安庁にそれを排除させなかった。中国に配慮しすぎた。これは非常に残念だった。

 経済政策も、思い切ってやれなかったね。経済を躍動させるまではいかなかった。国債をどんどん発行すれば、やれるんですよ。以前と違って、いま日銀はそれを引き受けるといっているわけです。彼が決断すれば、社会保障・福祉政策から国土形成についてまで膨大な財源がついたはずなんです。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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